ORWO

ORWO（オルヴォ）とは

ORWO（オルヴォ）は、Original Wolfenの略称で、かつて存在した東ドイツの写真フィルム・磁気テープの製造企業であり、現在も映画用フィルムブランドとしてその名を残しています。

歴史

ORWOの起源は、アグファ・ゲバルトのヴォルフェン工場に遡ります。1936年、この工場では、発色剤を用いた世界初の近代的なカラーフィルム「アグファカラー」が開発されました。第二次世界大戦後、工場は米軍の管理下に置かれましたが、その後ソ連軍政に引き渡されました。主要なドイツ人スタッフとともにソ連国内に移転し、ソ連のカラーフィルム産業の基礎を築くこととなりました。1953年、工場は東ドイツの所有となり、国営企業「VEBフィルムおよびアグファ・ヴォルフェン化学繊維工場」として再編されました。

冷戦下の東西分断とORWOブランドの誕生

貿易協定により、東ドイツの企業は西側諸国への販売権を制限されました。そのため、1964年に「Original Wolfen」を意味する「ORWO」というブランドが導入されました。1970年代には、ORWOブランドの35mmカラーフィルムがイギリスで販売されましたが、当時としては主流ブランドの代替品という位置づけでした。
1972年には、ソ連でORWOブランドの黒いカセットテープの販売が開始され、アメリカの雑誌『ビルボード』でも報道されました。

民営化とその後

東西ドイツ統一後、ORWOは1990年に民営化されましたが、2度の倒産を経て、1998年に新会社フィルモテックが設立されました。フィルモテックは、映画用フィルムに特化したORWO製品の製造を継続し、一部製品はマコというフィルム会社が販売しています。

現在のORWO

日本の小型映画専門店レトロエンタープライズが販売するシングル8用黒白生フィルム「レトロX」は、フィルモテックが継承する黒白リバーサルフィルムORWO UN54を原反として作られています。現在、ORWOブランドのフィルムは以下の長巻35mm白黒フィルム3種類と35mm白黒インフラレッドフィルム1種類が輸入されています。

ORWO UN 54 (ISO100) 135-30.5m（100ft）
ORWO N 74 plus (ISO400) 135-30.5m（100ft）

ORWOの遺産

ORWOは、東西ドイツ分断という歴史的背景の中で、独自のブランドを確立し、写真フィルム・磁気テープの分野で重要な役割を果たしました。その技術と製品は、現在もフィルム愛好家や映画製作者に利用されています。

参考文献

Karlsch, Rainer / Wagner, Paul Werner: Die AGFA-ORWO-Story, Vlg.F.Berlin Brandenburg, 2010年7月 ISBN 3942476045

関連項目

BASF
アグフア・ゲバルト
シングル8
ORWOハウス
マコ (ドイツの企業)

外部リンク

ORWO FilmoTec （英語） / ORWO FilmoTec （ドイツ語） - 公式ウェブサイト
Maco （英語） / Maco （ドイツ語） - マコ公式ウェブサイト
* Industrie- und Filmmuseum Wolfen （ドイツ語） - ヴォルフェン産業フィルム博物館

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