OSCA (曲)

東京事変4thシングル「OSCA」：浮雲作曲による意欲作と、個性際立つカップリング楽曲

2007年7月11日、EMIミュージック・ジャパンよりリリースされた東京事変の4枚目のシングル『OSCA』は、バンドの新たな一面を提示する作品となりました。前作『修羅場』から約1年8ヶ月ぶりとなる本作は、椎名林檎以外のメンバーが作曲を担当したという点で大きな注目を集めました。椎名林檎が作曲を手掛けなかったシングルは、デビューシングル『群青日和』以来のことです。

表題曲「OSCA」は、ギターボーカルを務める浮雲が椎名林檎から詞曲の依頼を受け制作。イタリアのスポーツカー、O.S.C.A.からインスパイアされたタイトルには、漫画『ベルサイユのばら』のオスカルへのオマージュや、性差を想起させるニュアンスも含まれていると語られています。歌詞は「だらしない男」をテーマに、浮雲の独特の視点で描かれています。アレンジは楽曲制作時のイメージを忠実に再現。シングル化はメンバー投票による決定だったため、浮雲自身もシングルリリースを予想していなかったとコメントしています。

ミュージックビデオは、オリジナルバージョンに加え、バンド演奏中心のバージョン、ダンサー（イデビアン・クルー）をフィーチャーしたバージョンなど、3パターンが制作され、ミュージックビデオ集『閃光少女』に収録されています。ライブでは拡声器を使った歌唱が特徴的で、「OSCA」のシャウトを観客に促す演出が定番となっています。「歌舞伎」や「FOUL」とのセットリストでの演奏も頻繁に行われています。

カップリング曲の2曲は、伊澤一葉が所持していたデモテープの中から選ばれた楽曲です。

1曲目の「ピノキオ」は、伊澤一葉によるピアノ・オリエンテッドなポップ・チューン。制作過程で苦労することなく、約3分というコンパクトな楽曲に仕上がっています。歌詞はピノキオと人間をテーマにしていますが、伊澤一葉自身はピノキオの物語をよく知らなかったと語っています。

2曲目の「鞄の中身（Crosswalk）」は、椎名林檎が作詞を担当。レコーディング初期段階で椎名がイメージした歌詞とは異なる、シュールな世界観の歌詞が書き上げられました。伊澤一葉のギターロック風のデモに対し、浮雲はピアノアレンジを提案。加山雄三を彷彿とさせるスライドギターも取り入れられています。伊澤一葉は、この曲をセッション的な楽曲と評しています。英訳詞は、2012年発表のカップリングアルバム『深夜枠』のブックレットに初掲載されました。

3曲全ては、椎名林檎がアルバム『平成風俗』のプロモーション活動中に制作が始まりました。

初回限定盤はギザギザ仕様のジャケットとなっており、「東京事変 live tour 2007 Spa & Treatment」のチケット先行抽選応募券が封入。ジャケット写真では浮雲がリモコンを握っている姿が印象的です。オリコン週間チャートでは初登場2位を記録し、6作連続（アルバムを含む）のTOP10入りを果たしました。

『OSCA』は、東京事変の音楽性における多様性と、メンバー個々の才能が融合した、記念碑的なシングルと言えるでしょう。

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