Object Management Group
Object Management Group (OMG) は、コンピュータ業界における国際的な非営利の標準化コンソーシアムです。会員制で、企業統合に関する幅広い技術標準を開発しています。
OMGは、仕様のみを提供し、具体的な実装は行いません。しかし、OMGによって標準として採用されるためには、提案チームは1年以内に対応製品を販売することを保証する必要があります。これは、実装が伴わない、または実現不可能な標準の策定を防ぐための措置です。
この仕組みにより、他の民間企業やオープンソースコミュニティによる対応製品の開発が促進され、OMG自身は真の相互運用性を確保するためのメカニズムの開発に注力しています。
OMGは、会員や関係者のために技術会議を主催しています。これらの会議では、ビジネス、金融、製造、ヘルスケア、ロボティクス、ソフトウェア無線、セキュリティ、政府、宇宙など、多様な分野におけるソフトウェアの相互運用性を高めるための標準について議論、開発、および採用が行われます。過去には、カリフォルニア州バーリンゲーム、バージニア州レストン、ドイツのベルリンなどで会議が開催されました。
OMGは1989年に、ヒューレット・パッカード、IBM、サン・マイクロシステムズ、Apple Computer、アメリカン航空、データゼネラルなど11の企業によって設立されました。当初の目的は、異種環境における分散オブジェクト標準を策定することでした。これは、あらゆるプラットフォームや開発環境で使用できるメソッドとデータを持つオブジェクトモデルを意味し、高い移植性と相互運用性を実現することを目標としていました。
1997年には、統一モデリング言語 (UML) がOMGの採用技術に追加されました。UMLは、オブジェクト指向プログラミングにおける汎用モデリング言語の標準です。
2000年以降、OMGの本部はマサチューセッツ州ニーダムに置かれています。2012年11月には、ニーダム内で本部が移転しました。
2005年6月には、Business Process Management Initiative (BPMI.org) とOMGが、両者のビジネスプロセス管理 (BPM) 部門を合併し、Business Modeling and Integration Domain Task Force (BMI DTF) を結成することが発表されました。2006年には、BPMN言語仕様がOMGの標準として採用されました。
2007年には、ビジネス・モチベーション・モデル (BMM) がOMG標準として採用されました。BMMは、コーポレートガバナンスと戦略計画のための語彙を提供するメタモデルであり、ガバナンス、コンプライアンス、事業変革、戦略計画などの事業活動を扱います。
2009年には、カーネギーメロン大学のソフトウェア工学研究所と共同で、CISQ (Consortium of IT Software Quality) が設立されました。CISQには、世界的なIT企業、システムインテグレーター、アウトソーシング業者、パッケージベンダーなどが集まり、ソフトウェア品質の測定の標準化に取り組んでいます。
2011年には、Cloud Standards Customer Council (CSCC) が設立されました。CA、IBMなどが創設スポンサーとなり、CSCCはOMGのエンドユーザー活動グループとして、クラウドコンピューティングの採用促進、セキュリティと相互運用性の課題に取り組んでいます。CSCCは標準化団体ではありませんが、既存のクラウド標準に基づき、ユーザーがクラウドに移行する際にも選択の自由、柔軟性、開放性を維持できるよう、顧客主導の基本要件仕様をまとめています。
2011年9月には、Vector Signal and Image Processing Library (VSIPL) がOMG標準として採用されました。この採用には、メンター・グラフィックスなどが主導的な役割を果たしました。VSIPLは、信号処理機器や画像処理機器のハードウェアおよびソフトウェアのベンダー、アプリケーション開発者、政府系研究機関などが策定したオープンなAPI規格です。VSIPLとVSIPL++には、信号処理に関する数百の関数が定義されており、基本的な算術関数、三角関数、超越関数、信号処理特有の関数、線型代数関数、画像処理特有の関数などが含まれます。複数のベンダーが、x86、PowerPC、Cell、NVIDIA GPUなど、さまざまなプロセッサアーキテクチャ向けに実装しています。
Common Object Request Broker Architecture (CORBA)
1991年、OMGは最初のCORBA標準を策定しました。CORBAは、異なるプログラミング言語で記述され、異なるコンピュータ上で動作するソフトウェアコンポーネントが連携して動作するための標準です。OMGは、CORBAの主要部分を抜き出した組み込みシステムおよびリアルタイムシステム向けの標準も策定しました。CORBAは、例えばヨーロッパの加速器制御ソフトウェアTANGOなどで採用されています。リアルタイムCORBAの実装は、船舶や航空機の制御システムにも広く採用されています。
Data Distribution Service (DDS)
DDSは、リアルタイムシステム向けのデータ配信サービスのための標準であり、CORBAの出版-購読型仕様推進の必要性から生まれました。これは、分散システムのための出版-購読型ミドルウェアの標準です。
モデル駆動型アーキテクチャ (MDA)
OMGは、UMLのモデリング標準化に注力し、関連標準としてMeta-Object Facility (MOF)、XML Metadata Interchange (XMI)、MOF QVT (Query/Views/Transformation) などを策定しました。これらの標準は、MDAの基盤を提供します。Systems Modeling Language (SysML) は、UMLをベースとしたシステム工学用のモデリング言語であり、INCOSEと共同で標準化されました。
また、RDFとOWLモデルによりUMLモデルを標準的に関連付ける「オントロジー定義メタモデル」の採用を通じて、UMLによるモデリングとセマンティックウェブの世界を広げることにも注力しています。
Semantics of Business Vocabulary and Business Rules (SBVR) は、自然言語によるモデリングを採用した標準であり、形式論理のモデルを明示的に提供します。2年の準備期間を経て、言語、論理、計算機科学を融合させ、自然言語で書かれた仕様から形式論理による表現に変換し、コンピュータで処理できる形にする方法を提供しています。SBVRはMDAの重要な要素です。
Architecture Driven Modernization (ADM)
ADMは、MDAの逆のアプローチであり、OMGには対応するタスクフォースが存在します。Knowledge Discovery Metamodel (KDM) は、既存のソフトウェアシステムとその運用環境を表現するための共通の中間表現です。KDMは、OMGにおけるソフトウェアモダナイゼーションとソフトウェア品質保証の基盤となります。KDMでは、Meta-Object Facilityを使用して、既存のソフトウェアと連携するツール間のXMI交換形式を定義し、次世代の品質保証とモダナイゼーションツールの抽象インターフェースを定義します。
領域毎のモデル
ビジネスモデル: OMGは、BPMN、BMM、SBVRなどのビジネスモデリング標準を策定しています。
垂直型: OMGは、医療、金融、通信、製造、ソフトウェア無線など、さまざまな技術分野に関する垂直型モデルベースの標準策定にも注力しています。
ソフトウェア保証と規定遵守
OMGは、MDAの標準に基づいた「規定遵守」と「ソフトウェア保証」に関する活動も開始しています。
OMGは、OMGが策定した標準規格に関する技術者資格試験を実施しています。
OCRES - OMG認定組込み技術者資格試験
OCUP - OMG認定UML技術者資格試験
OCEB - OMG認定BPMエキスパート資格試験
OCSMP - OMG認定システムモデリング技術者資格試験
概要
OMGは、仕様のみを提供し、具体的な実装は行いません。しかし、OMGによって標準として採用されるためには、提案チームは1年以内に対応製品を販売することを保証する必要があります。これは、実装が伴わない、または実現不可能な標準の策定を防ぐための措置です。
この仕組みにより、他の民間企業やオープンソースコミュニティによる対応製品の開発が促進され、OMG自身は真の相互運用性を確保するためのメカニズムの開発に注力しています。
OMGは、会員や関係者のために技術会議を主催しています。これらの会議では、ビジネス、金融、製造、ヘルスケア、ロボティクス、ソフトウェア無線、セキュリティ、政府、宇宙など、多様な分野におけるソフトウェアの相互運用性を高めるための標準について議論、開発、および採用が行われます。過去には、カリフォルニア州バーリンゲーム、バージニア州レストン、ドイツのベルリンなどで会議が開催されました。
歴史
OMGは1989年に、ヒューレット・パッカード、IBM、サン・マイクロシステムズ、Apple Computer、アメリカン航空、データゼネラルなど11の企業によって設立されました。当初の目的は、異種環境における分散オブジェクト標準を策定することでした。これは、あらゆるプラットフォームや開発環境で使用できるメソッドとデータを持つオブジェクトモデルを意味し、高い移植性と相互運用性を実現することを目標としていました。
1997年には、統一モデリング言語 (UML) がOMGの採用技術に追加されました。UMLは、オブジェクト指向プログラミングにおける汎用モデリング言語の標準です。
2000年以降、OMGの本部はマサチューセッツ州ニーダムに置かれています。2012年11月には、ニーダム内で本部が移転しました。
2005年6月には、Business Process Management Initiative (BPMI.org) とOMGが、両者のビジネスプロセス管理 (BPM) 部門を合併し、Business Modeling and Integration Domain Task Force (BMI DTF) を結成することが発表されました。2006年には、BPMN言語仕様がOMGの標準として採用されました。
2007年には、ビジネス・モチベーション・モデル (BMM) がOMG標準として採用されました。BMMは、コーポレートガバナンスと戦略計画のための語彙を提供するメタモデルであり、ガバナンス、コンプライアンス、事業変革、戦略計画などの事業活動を扱います。
2009年には、カーネギーメロン大学のソフトウェア工学研究所と共同で、CISQ (Consortium of IT Software Quality) が設立されました。CISQには、世界的なIT企業、システムインテグレーター、アウトソーシング業者、パッケージベンダーなどが集まり、ソフトウェア品質の測定の標準化に取り組んでいます。
2011年には、Cloud Standards Customer Council (CSCC) が設立されました。CA、IBMなどが創設スポンサーとなり、CSCCはOMGのエンドユーザー活動グループとして、クラウドコンピューティングの採用促進、セキュリティと相互運用性の課題に取り組んでいます。CSCCは標準化団体ではありませんが、既存のクラウド標準に基づき、ユーザーがクラウドに移行する際にも選択の自由、柔軟性、開放性を維持できるよう、顧客主導の基本要件仕様をまとめています。
2011年9月には、Vector Signal and Image Processing Library (VSIPL) がOMG標準として採用されました。この採用には、メンター・グラフィックスなどが主導的な役割を果たしました。VSIPLは、信号処理機器や画像処理機器のハードウェアおよびソフトウェアのベンダー、アプリケーション開発者、政府系研究機関などが策定したオープンなAPI規格です。VSIPLとVSIPL++には、信号処理に関する数百の関数が定義されており、基本的な算術関数、三角関数、超越関数、信号処理特有の関数、線型代数関数、画像処理特有の関数などが含まれます。複数のベンダーが、x86、PowerPC、Cell、NVIDIA GPUなど、さまざまなプロセッサアーキテクチャ向けに実装しています。
OMGの主な成果物
Common Object Request Broker Architecture (CORBA)
1991年、OMGは最初のCORBA標準を策定しました。CORBAは、異なるプログラミング言語で記述され、異なるコンピュータ上で動作するソフトウェアコンポーネントが連携して動作するための標準です。OMGは、CORBAの主要部分を抜き出した組み込みシステムおよびリアルタイムシステム向けの標準も策定しました。CORBAは、例えばヨーロッパの加速器制御ソフトウェアTANGOなどで採用されています。リアルタイムCORBAの実装は、船舶や航空機の制御システムにも広く採用されています。
Data Distribution Service (DDS)
DDSは、リアルタイムシステム向けのデータ配信サービスのための標準であり、CORBAの出版-購読型仕様推進の必要性から生まれました。これは、分散システムのための出版-購読型ミドルウェアの標準です。
モデル駆動型アーキテクチャ (MDA)
OMGは、UMLのモデリング標準化に注力し、関連標準としてMeta-Object Facility (MOF)、XML Metadata Interchange (XMI)、MOF QVT (Query/Views/Transformation) などを策定しました。これらの標準は、MDAの基盤を提供します。Systems Modeling Language (SysML) は、UMLをベースとしたシステム工学用のモデリング言語であり、INCOSEと共同で標準化されました。
また、RDFとOWLモデルによりUMLモデルを標準的に関連付ける「オントロジー定義メタモデル」の採用を通じて、UMLによるモデリングとセマンティックウェブの世界を広げることにも注力しています。
Semantics of Business Vocabulary and Business Rules (SBVR) は、自然言語によるモデリングを採用した標準であり、形式論理のモデルを明示的に提供します。2年の準備期間を経て、言語、論理、計算機科学を融合させ、自然言語で書かれた仕様から形式論理による表現に変換し、コンピュータで処理できる形にする方法を提供しています。SBVRはMDAの重要な要素です。
Architecture Driven Modernization (ADM)
ADMは、MDAの逆のアプローチであり、OMGには対応するタスクフォースが存在します。Knowledge Discovery Metamodel (KDM) は、既存のソフトウェアシステムとその運用環境を表現するための共通の中間表現です。KDMは、OMGにおけるソフトウェアモダナイゼーションとソフトウェア品質保証の基盤となります。KDMでは、Meta-Object Facilityを使用して、既存のソフトウェアと連携するツール間のXMI交換形式を定義し、次世代の品質保証とモダナイゼーションツールの抽象インターフェースを定義します。
領域毎のモデル
ビジネスモデル: OMGは、BPMN、BMM、SBVRなどのビジネスモデリング標準を策定しています。
垂直型: OMGは、医療、金融、通信、製造、ソフトウェア無線など、さまざまな技術分野に関する垂直型モデルベースの標準策定にも注力しています。
ソフトウェア保証と規定遵守
OMGは、MDAの標準に基づいた「規定遵守」と「ソフトウェア保証」に関する活動も開始しています。
認証
OMGは、OMGが策定した標準規格に関する技術者資格試験を実施しています。
OCRES - OMG認定組込み技術者資格試験
OCUP - OMG認定UML技術者資格試験
OCEB - OMG認定BPMエキスパート資格試験
OCSMP - OMG認定システムモデリング技術者資格試験
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