Octave (桜エビ〜ずのアルバム)
桜エビ〜ず（現 ukka）にとって、グループが「ukka」へと改名する直前にリリースされた最後のアルバムが、2019年8月21日に発売された2ndアルバム『octave』である。前作『sakuraebis』から約1年半ぶりの発表となったこの作品は、彼女たちの成長と多様な音楽性を示す集大成として位置づけられる。
『octave』の収録曲の大部分は、2018年6月から開始された「12ヶ月連続リリース企画」で毎月発表されてきた楽曲群である。この企画で配信された全12曲のうち9曲が収められ、さらにアルバムのために制作された新曲「ねぇ、ローファー。」「それは月曜日の9時のように」「さいしょのさいしょ」「せつないや」の4曲が加わり、合計13曲で構成されている。ヤマモトショウ、sasakure.UK、ONIGAWARA、浅見北斗（Have a Nice Day!）といった多岐にわたるアーティストが楽曲を提供しており、音楽的なバラエティも豊かだ。
「前はアイドルらしい歌詞が多かったけれど、この時期の配信曲は等身大の女の子を描いたものが多い」とメンバーの水春が語るように、歌詞の世界観がより普遍的なものへと変化したことも特徴的だ。この変化は、メンバーの年齢差に関わらず「表現しやすくなった」という手応えにつながった。
その音楽性と表現力は、高い評価となって表れる。中でも、第8回アイドル楽曲大賞2019では「アルバム部門」で栄えある第1位を獲得。さらに、同大賞の「インディーズ/地方アイドル楽曲部門」では、収録曲から6曲が11位以内に入賞するという快挙を成し遂げた。「それは月曜日の9時のように」が第1位、「キラキラ」が第2位に輝いたほか、「214」（5位）、「ねぇ、ローファー。」（7位）、「せつないや」（8位）、「さいしょのさいしょ」（11位）もランクインを果たしている。グループ自身も「推し箱部門」でukka（元 桜エビ〜ず）として第1位を獲得しており、2019年のアイドルシーンにおける存在感の大きさを証明した。プロインタビュアーの吉田豪氏が「2019年にいい曲を最も大量に生みだしたのは桜エビ〜ず（現ukka）じゃないか」と評し、『octave』を「年間ベスト級の曲を複数収録」した「最高」のアルバムだと絶賛したことからも、その質の高さがうかがえる。
特に評価の高かった楽曲群は、『octave』の魅力を象徴している。
「それは月曜日の9時のように」：ONIGAWARAが作詞・作曲・編曲を手がけ、フジテレビ系の月9ドラマへのオマージュを込めたシティポップ。第8回アイドル楽曲大賞インディーズ/地方アイドル楽曲部門で1位に輝き、「アイドルフェスでのアンセム」「これ一発でみんなが沸き立つ」と評されるほどの盛り上がりを見せた。TBSドラマ「この恋あたためますか」でも使用されるなど、広く注目を集めた。
「キラキラ」：タケダナオキによる作詞・作曲。第8回アイドル楽曲大賞インディーズ/地方アイドル楽曲部門で2位。「ファンと一緒にシンガロングする楽曲」としてライブで大きな盛り上がりを見せる一曲。メンバーの茜空は「ライブ映えする曲」「好きな落ちサビのパートをもらえた」とお気に入りの曲に挙げている。
「214」：sasakure.UKによる作詞・作曲・編曲。第8回アイドル楽曲大賞インディーズ/地方アイドル楽曲部門で5位。バレンタインがテーマ。桜エビ〜ず初の海外遠征となった台湾で撮影されたMVは、観光を楽しむメンバーのオフショット映像が収められている。音楽評論家の宗像明将氏はこの曲を高く評価し、台湾MVについても「メンバーの表情の切り取り方が素晴らしい」と称賛した。
「ねぇ、ローファー。」：鈴木健太朗が作詞・作曲。第8回アイドル楽曲大賞インディーズ/地方アイドル楽曲部門で7位。子供から大人への変化や片思いのもどかしさをローファーに歌いかける青春ミディアムバラード。アイドル楽曲大賞の座談会では「バラード調の切ない楽曲を自分たちのものとして歌えるのはすごい」と評価された。
「せつないや」：アカシックの理姫が作詞、DUFFが作曲・編曲。第8回アイドル楽曲大賞インディーズ/地方アイドル楽曲部門で8位。水春は「大人になって強くなった女の子が描かれている」「この1年を通して成長した私たちを恋愛に見立てた歌」として好きな曲に挙げている。
「さいしょのさいしょ」：ヤマモトショウ作詞、藤田卓也作曲、Dr.Usui編曲。第8回アイドル楽曲大賞インディーズ/地方アイドル楽曲部門で11位。スカを取り入れたサウンドと、1年間連続配信に取り組んだグループ自身を主人公にした歌詞が特徴。
また、第7回アイドル楽曲大賞でも「リンドバーグ」が2位、「灼熱とアイスクリーム」が7位にランクインしており、これらの楽曲も『octave』に収録されている。「リンドバーグ」は飛行士チャールズ・リンドバーグをモチーフにした爽やかな曲で、Have a Nice Day!とのコラボ動画も制作された。「灼熱とアイスクリーム」は夏の恋を歌ったシティポップで、スイカ割りなどが収められたMVも話題となった。これらの楽曲は、連続リリース企画開始以前から存在していたが、「今の桜エビ〜ずだからこそ魅力が届けられる」タイミングで発表された、とスタッフは語っている。
『octave』は通常盤（SDMC-1054）に加え、撮り下ろしスペシャル・フォトブック（46P）が付属する初回生産限定盤（SDMC-1055）も発売された。発売当初はリリイベ会場で先行販売され、その後はライブ会場や通販で取り扱われているほか、タワーレコードやHMVの一部店舗でも購入可能だった。また、2019年9月11日からは主要な音楽配信サービスでの配信も開始され、より多くのリスナーに届けられた。アートディレクションは鳴尾仁希が担当している。
『octave』は、桜エビ〜ずとして活動した最後の期間に生み出された多彩な楽曲群を網羅し、高い評価を獲得した記念碑的作品であり、ukkaへと繋がるグループの重要なターニングポイントを示すアルバムと言えるだろう。
制作背景と構成
『octave』の収録曲の大部分は、2018年6月から開始された「12ヶ月連続リリース企画」で毎月発表されてきた楽曲群である。この企画で配信された全12曲のうち9曲が収められ、さらにアルバムのために制作された新曲「ねぇ、ローファー。」「それは月曜日の9時のように」「さいしょのさいしょ」「せつないや」の4曲が加わり、合計13曲で構成されている。ヤマモトショウ、sasakure.UK、ONIGAWARA、浅見北斗（Have a Nice Day!）といった多岐にわたるアーティストが楽曲を提供しており、音楽的なバラエティも豊かだ。
楽曲の特色と評価
「前はアイドルらしい歌詞が多かったけれど、この時期の配信曲は等身大の女の子を描いたものが多い」とメンバーの水春が語るように、歌詞の世界観がより普遍的なものへと変化したことも特徴的だ。この変化は、メンバーの年齢差に関わらず「表現しやすくなった」という手応えにつながった。
その音楽性と表現力は、高い評価となって表れる。中でも、第8回アイドル楽曲大賞2019では「アルバム部門」で栄えある第1位を獲得。さらに、同大賞の「インディーズ/地方アイドル楽曲部門」では、収録曲から6曲が11位以内に入賞するという快挙を成し遂げた。「それは月曜日の9時のように」が第1位、「キラキラ」が第2位に輝いたほか、「214」（5位）、「ねぇ、ローファー。」（7位）、「せつないや」（8位）、「さいしょのさいしょ」（11位）もランクインを果たしている。グループ自身も「推し箱部門」でukka（元 桜エビ〜ず）として第1位を獲得しており、2019年のアイドルシーンにおける存在感の大きさを証明した。プロインタビュアーの吉田豪氏が「2019年にいい曲を最も大量に生みだしたのは桜エビ〜ず（現ukka）じゃないか」と評し、『octave』を「年間ベスト級の曲を複数収録」した「最高」のアルバムだと絶賛したことからも、その質の高さがうかがえる。
収録曲ピックアップ
特に評価の高かった楽曲群は、『octave』の魅力を象徴している。
「それは月曜日の9時のように」：ONIGAWARAが作詞・作曲・編曲を手がけ、フジテレビ系の月9ドラマへのオマージュを込めたシティポップ。第8回アイドル楽曲大賞インディーズ/地方アイドル楽曲部門で1位に輝き、「アイドルフェスでのアンセム」「これ一発でみんなが沸き立つ」と評されるほどの盛り上がりを見せた。TBSドラマ「この恋あたためますか」でも使用されるなど、広く注目を集めた。
「キラキラ」：タケダナオキによる作詞・作曲。第8回アイドル楽曲大賞インディーズ/地方アイドル楽曲部門で2位。「ファンと一緒にシンガロングする楽曲」としてライブで大きな盛り上がりを見せる一曲。メンバーの茜空は「ライブ映えする曲」「好きな落ちサビのパートをもらえた」とお気に入りの曲に挙げている。
「214」：sasakure.UKによる作詞・作曲・編曲。第8回アイドル楽曲大賞インディーズ/地方アイドル楽曲部門で5位。バレンタインがテーマ。桜エビ〜ず初の海外遠征となった台湾で撮影されたMVは、観光を楽しむメンバーのオフショット映像が収められている。音楽評論家の宗像明将氏はこの曲を高く評価し、台湾MVについても「メンバーの表情の切り取り方が素晴らしい」と称賛した。
「ねぇ、ローファー。」：鈴木健太朗が作詞・作曲。第8回アイドル楽曲大賞インディーズ/地方アイドル楽曲部門で7位。子供から大人への変化や片思いのもどかしさをローファーに歌いかける青春ミディアムバラード。アイドル楽曲大賞の座談会では「バラード調の切ない楽曲を自分たちのものとして歌えるのはすごい」と評価された。
「せつないや」：アカシックの理姫が作詞、DUFFが作曲・編曲。第8回アイドル楽曲大賞インディーズ/地方アイドル楽曲部門で8位。水春は「大人になって強くなった女の子が描かれている」「この1年を通して成長した私たちを恋愛に見立てた歌」として好きな曲に挙げている。
「さいしょのさいしょ」：ヤマモトショウ作詞、藤田卓也作曲、Dr.Usui編曲。第8回アイドル楽曲大賞インディーズ/地方アイドル楽曲部門で11位。スカを取り入れたサウンドと、1年間連続配信に取り組んだグループ自身を主人公にした歌詞が特徴。
また、第7回アイドル楽曲大賞でも「リンドバーグ」が2位、「灼熱とアイスクリーム」が7位にランクインしており、これらの楽曲も『octave』に収録されている。「リンドバーグ」は飛行士チャールズ・リンドバーグをモチーフにした爽やかな曲で、Have a Nice Day!とのコラボ動画も制作された。「灼熱とアイスクリーム」は夏の恋を歌ったシティポップで、スイカ割りなどが収められたMVも話題となった。これらの楽曲は、連続リリース企画開始以前から存在していたが、「今の桜エビ〜ずだからこそ魅力が届けられる」タイミングで発表された、とスタッフは語っている。
リリース情報
『octave』は通常盤（SDMC-1054）に加え、撮り下ろしスペシャル・フォトブック（46P）が付属する初回生産限定盤（SDMC-1055）も発売された。発売当初はリリイベ会場で先行販売され、その後はライブ会場や通販で取り扱われているほか、タワーレコードやHMVの一部店舗でも購入可能だった。また、2019年9月11日からは主要な音楽配信サービスでの配信も開始され、より多くのリスナーに届けられた。アートディレクションは鳴尾仁希が担当している。
『octave』は、桜エビ〜ずとして活動した最後の期間に生み出された多彩な楽曲群を網羅し、高い評価を獲得した記念碑的作品であり、ukkaへと繋がるグループの重要なターニングポイントを示すアルバムと言えるだろう。
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