Odeca

odeca：気仙沼線・大船渡線BRTの乗車カード

東日本旅客鉄道（JR東日本）は、気仙沼線・大船渡線BRTの利用者を対象に、乗車カードodecaを提供しています。2013年のサービス開始以来、odecaは地域住民の生活を支える重要な役割を担ってきましたが、その歴史は大きく二つのフェーズに分けられます。一つは2013年から2023年6月まで提供されていた独自規格のodeca、そして2023年7月1日から開始された地域連携ICカード規格のodecaです。本稿では、両方のodecaについて詳しく解説します。

独自規格時代のodeca（2013年 - 2023年）

2013年8月3日に導入された独自規格のodecaは、「お出かけしやすいICカード」というコンセプトのもと、地域住民の利便性向上を目指して誕生しました。券面には、BRTと沿線復興を象徴するリスのキャラクター「おっぽくん」が描かれ、親しみやすさを演出していました。

JR東日本はSuicaという全国的に普及している交通系ICカードを既に発行していましたが、なぜBRT専用のodecaを導入したのかは公式には明らかにされていません。しかし、BRTの複雑な運賃計算システムに対応するため、専用ICカードの発行が不可欠だったと推測されています。

当初はSuicaとの互換性がありませんでしたが、2015年3月14日からはSuicaおよび全国相互利用可能な交通系ICカードとの相互利用を開始。利便性が大きく向上しました。また、岩手県交通が運行する盛岡都心循環バス「でんでんむし」でも、2019年6月1日から2021年1月31日までの期間限定で実証実験としてodecaが利用可能となりました。

しかし、独自規格odecaはSuicaなどとの完全な相互利用には対応しておらず、Suicaエリアとodecaエリアをまたがる乗車や、odecaでのSuicaエリア利用などには制限がありました。ポイントサービスや電子マネーとしての機能も備えておらず、Suicaなどの相互利用カードと比較して利便性に劣るとの指摘もありました。これらの課題を踏まえ、2023年6月30日をもって独自規格odecaのサービスは終了しました。

独自規格odecaの種類

独自規格odecaには、「無記名odeca」「記名odeca」「odeca定期券」の3種類があり、記名odecaと定期券にはそれぞれこども用も用意されていました。こども用odecaは、有効期限が小学校卒業年の3月31日までと定められていました。

独自規格odecaの導入エリア

独自規格odecaは、主に気仙沼線・大船渡線BRTの路線で利用可能でした。ただし、BRTと並走する気仙沼線の一部区間や、ミヤコーバス鹿折金山線の一部区間などでは利用できませんでした。盛岡都心循環バス「でんでんむし」でも一時的に利用可能でしたが、2021年1月31日をもってサービスは終了しています。

地域連携ICカード時代のodeca（2023年 - ）

上記のような課題を解決するため、2023年7月1日からはSuicaの機能を追加した地域連携ICカードとしてodecaがリニューアルされました。券面デザインも変更され、「おっぽくん」が赤色のバスに乗っているイラストが採用されました。

このリニューアルにより、Suicaエリアとの完全な相互利用が可能となり、利便性が大幅に向上しました。また、従来のodecaで発行されていた定期券は、地域連携ICカードodecaでも継続して利用できます。

地域連携ICカードodecaの種類

地域連携ICカードodecaには、「無記名式odeca」「記名式odeca」「odeca定期券」の3種類があります。記名式odecaは、紛失時の再発行が可能という利点があります。odeca定期券は、通勤定期券と通学定期券が用意されています。

odecaの沿革

2013年8月3日：サービス開始
2015年3月14日：Suicaなど全国相互利用ICカードとの片利用開始
2019年6月1日：「でんでんむし」での実証実験開始
2021年1月31日：「でんでんむし」での実証実験終了
2023年3月31日：odeca3ヶ月定期券販売終了
2023年4月25日：従来odecaの払い戻し開始
2023年5月31日：odeca1ヶ月定期券販売終了
2023年6月30日：従来odecaのサービス終了
2023年7月1日：地域連携ICカードodecaのサービス開始
2023年8月1日：地域連携ICカードodeca定期券の取扱開始

odecaは、気仙沼線・大船渡線BRTの利用者にとって、なくてはならない存在となっています。今後も、地域住民の生活を支える重要な役割を担っていくことが期待されます。

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