地域連携ICカード

地域連携ICカードとは

地域連携ICカードは、東日本旅客鉄道（JR東日本）とソニーイメージングプロダクツ＆ソリューションズ、JR東日本メカトロニクスが共同で開発した、交通系ICカードです。このカードは、JR東日本のSuicaと各地域の交通系ICカードの機能を1枚にまとめた「2in1カード」であり、2021年3月から導入されました。

開発の背景

従来、交通系ICカードの全国相互利用は、既存の「10カード」を導入するか、独自のICカードを導入し「10カード」とシステムを接続する必要がありました。しかし、地域交通事業者にとっては導入費用や運用面での負担が大きく、導入が進まない状況でした。そこで、地域交通事業者は独自サービスを維持しながら、Suicaの全国相互利用サービスにも対応できるカードが求められました。

地域連携ICカードは、この課題を解決するために開発されました。地域交通事業者は、定期券機能や独自ポイントを付与しつつ、Suicaとして全国の加盟店や交通機関で利用できるようになります。JR東日本は、サーバーの共同利用などで地域交通事業者の投資額を抑え、カード読み取り機の販売や決済手数料で収益向上を目指しています。

地域連携ICカードの特徴

地域連携ICカードの裏面には、地域交通カードとしてのID番号とSuicaのID番号が記載されています。Suicaとの「2in1カード」であるため、Suicaに対応しているフリー乗車券や新幹線eチケットの利用、Suica電子マネー加盟店での支払いが可能です。記名式カードであれば、バス定期券とSuica定期券を1枚にまとめることもでき、JRE POINTへの登録も可能です。また、グリーン車Suicaシステムや、PASMO加盟バス事業者のバスIC一日乗車券なども利用できます。

主な地域連携ICカード一覧

2024年5月現在、以下の13種類の地域連携ICカードが発売されています。

AOPASS
AkiCA
iGUCA
Iwate Green Pass
odeca
Shuhoku Orange Pass
cherica
totra
Towada SkyBlue Pass
nolbé
ハチカ
MegoICa
LOCOCA

システム

発売額

各カードの発売額は異なりますが、デポジット（預り金）500円が含まれます。デポジットを除く金額が初回利用時の乗車券や電子マネーとして利用できます。追加チャージも可能です。カード返却時にはデポジットは全額返金されます。

チャージ

カードへのチャージは、各地域の連携ICカード取扱窓口、バス車内、JR東日本の自動券売機、コンビニエンスストア、セブン銀行ATMなどで可能です。記名式カードは「オートチャージ」にも対応しています。バス車内でのチャージは1,000円単位で可能です。残高が10,000円を超える場合はチャージできません。

記名式カードへの変更

無記名式カードから記名式カードへの変更は、Suicaエリア内やJR東日本の新幹線停車駅にある多機能券売機やみどりの窓口で手続き可能です。記名式カードを取り扱うバス事業者の営業所でも可能な場合があります。

紛失時・障害発生時

記名式カードの再発行や障害手続きは、基本的に発行したバス事業者で行います。JR東日本やPASMO加盟事業者では再発行登録のみを行い、その後、発行事業者で再発行手続きを行います。

カードの返却・払い戻し

カードの払い戻しは、発行したバス事業者で行います。バスIC定期券とSuica定期券をまとめている場合は、まずバスIC定期券部分を払い戻し、Suica定期券部分はJR東日本の「みどりの窓口」で払い戻します。デポジットは無手数料で返金され、定期券の払い戻し額や残高から手数料を引いた金額も返金されます。

利用方法

バスでの利用

乗車時：乗車口のカードリーダーにタッチします。整理券は不要です。
降車時：降車口のカードリーダーにタッチします。液晶画面に運賃と残高が表示されます。残高不足の場合は、運転士にチャージを申し出るか、現金で支払います。

宇都宮芳賀ライトレール線での利用

乗車時：ドア横の緑色のカードリーダーにタッチします。整理券は不要です。
降車時：ドア横の黄色のカードリーダーにタッチします。液晶画面に運賃と残高が表示されます。残高不足の場合は、運転士にチャージを申し出るか、現金で支払います。

各カードの詳細

AOPASS

青森圏域で導入されているカードです。青森市営バスなどで利用できます。無記名式と記名式があり、定期券やポイントサービスも利用可能です。

MegoICa

弘南バスが導入しているカードです。弘南バスの一般路線バスで利用できます。無記名式と記名式があり、定期券やポイントサービスも利用可能です。

ハチカ

八戸市交通部と岩手県北自動車南部支社が導入しているカードです。一般路線バスや「八盛号」で利用できます。無記名式と記名式があり、定期券やポイントサービスも利用可能です。

Towada SkyBlue Pass

十和田観光電鉄が導入しているカードです。同社の路線バスで利用できます。無記名式と記名式があり、定期券やポイントサービスも利用可能です。

Iwate Green Pass

岩手県交通が発行しているカードです。同社の路線バスや高速バスで利用できます。無記名式と記名式があり、定期券やポイントサービスも利用可能です。

iGUCA

岩手県北自動車が発行しているカードです。同社の路線バスやジェイアールバス東北の路線で利用できます。無記名式と記名式があり、定期券やポイントサービスも利用可能です。

odeca

JR東日本がBRT路線向けに導入したカードです。

Shuhoku Orange Pass

秋北バスが導入しているカードです。同社の路線バスや「みちのく号」で利用できます。無記名式と記名式があり、定期券やポイントサービスも利用可能です。

AkiCA

秋田市圏域で導入されているカードです。秋田中央交通などの路線バスで利用できます。無記名式と記名式があり、定期券やポイントサービスも利用可能です。

cherica

山形県内のバス事業者で導入されているカードです。山交バスや庄内交通の路線バスで利用できます。無記名式と記名式があり、定期券やポイントサービスも利用可能です。

LOCOCA

新常磐交通が発行しているカードです。同社の路線バスやジェイアールバス関東の白棚線で利用できます。無記名式と記名式があり、定期券やポイントサービスも利用可能です。

totra

関東自動車が発行しているカードです。同社の路線バスやジェイアールバス関東の路線、宇都宮ライトレールで利用できます。無記名式と記名式があり、定期券やポイントサービスも利用可能です。

nolbé

群馬県内のバス事業者で導入されているカードです。上信電鉄などの路線バスで利用できます。無記名式と記名式があり、定期券も利用可能ですが、交通ポイントサービスの導入は見送られています。

乗継割引・往復割引

一部の地域連携ICカードでは、乗継割引や往復割引のサービスも提供されています。

バスIC定期券とSuica定期券・SuicaFREX・FREXパル定期券を1枚にまとめる

地域連携ICカードエリアとSuicaエリアが重複しているエリアで発行されている記名式カードの一部は、バスIC定期券とSuica定期券を1枚にまとめることができます。

高速・都市間バスの利用

地域連携ICカード発行事業者が運行する一部の高速バスや都市間バスでは、SuicaやPASMOなどの交通系ICカードも利用できます。

ICフリー乗車券

一部の地域連携ICカードでは、ICフリー乗車券も発売されています。当日最初の運賃支払い時に購入できます。

障害者用Suica・PASMOサービスの開始

関東ICカード相互利用協議会は、障害者と介助者が同時に利用する場合のSuica・PASMOカードのサービスを2023年3月18日から開始しており、地域連携ICカードエリアでも利用可能です。

今後の予定

以下の地域で地域連携ICカードの導入が予定されています。

KURURU（長野市周辺）:2025年3月1日導入予定
* 松本市・アルピコ交通:2026年春導入予定

まとめ

地域連携ICカードは、一枚で複数の交通機関の利用や電子マネー決済を可能にする便利なカードです。地域ごとの特典やポイントサービスもあり、より便利でお得に公共交通機関を利用できます。今後も導入地域が拡大される見込みです。

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