Outer (ユニット)

Outer（アウター）

北海道札幌市を拠点とする音楽制作集団「I've」のクリエイター陣と、シンガーソングライターのKOTOKOによって結成された日本の音楽ユニット、Outer。
パンク・ロックを基調としながら、I'veならではのデジタルサウンドやプログラミングを融合させた独自の音楽性を展開し、根強い支持を得ています。

結成経緯と音楽性

Outerの誕生は、かつてパンクバンドでの活動経験を持つI'veのメインコンポーザー、高瀬一矢氏の発想に遡ります。彼は、自身のルーツであるパンク・ロックに、I've Soundの特徴である打ち込みサウンドを組み合わせるというアイデアを思いつきました。この革新的な試みを実現するため、ボーカリストとして迎えられたのが、当時I'veの看板ボーカリストの一人であったKOTOKOです。彼女はソロ名義での活動で見せる表情とは全く異なる、荒々しくストレートなパンクボーカルスタイルと、心の叫びを表現した歌詞で、Outerの唯一無二の世界観を構築しました。

ユニット結成当初、その実態は明らかにされておらず、「正体不明のユニット」としてミステリアスに扱われていました。しかし、後にボーカルがKOTOKOであること、そしてI'veのクリエイターを中心に、楽曲や時期によってメンバーが流動的に変化するスタイルであることが明かされました。

主な関与メンバー

Outerは特定の固定メンバーを持たないユニットですが、主に以下のクリエイターやボーカリストが深く関わってきました。

KOTOKO（ボーカル、作詞）: Outerの「声」を務めるシンガーソングライター。2011年にI'veから独立後も多岐にわたる活動を展開しています。
高瀬一矢（ギター、作曲、編曲、作詞、プロデュース）: I'veの代表であり、Outerの発起人・プロデューサー。ユニットサウンドの根幹を担っています。
尾崎武士（ギター、編曲）: 高瀬一矢氏プロデュースのパンクバンド出身のギタリスト。多くのI've関連楽曲に参加していましたが、2017年にI'veを卒業しました。
板垣直樹（ベース）: I'veの運営に関わる一方、ベーシストとして初期のOuterに参加。2017年にI'veを退社しています。
* 中沢伴行（シンセサイザー、作曲、編曲）: I'veのメインコンポーザーの一人。デジタルサウンド面でOuterの音楽性を支えましたが、2017年にI'veを卒業しました。

活動の軌跡

Outerは2000年9月8日、楽曲「Synthetic Organism」でその活動をスタートさせました。この曲はPCゲームのイメージソングに起用され、ユニットの存在が知られるきっかけとなりました。

結成初期は主に楽曲発表が中心でしたが、2006年12月1日に横浜アリーナで開催されたKOTOKOのライブ『Starlight Symphony -KOTOKO LIVE 2006 IN YOKOHAMA ARENA-』にサプライズ出演し、これがOuterにとって記念すべき初ライブとなりました。

2011年8月には、コミックマーケットおよび通販限定で初のミニアルバム『OUTER』をリリース。収録曲「Bullshit!! Hard problem!!」はミュージックビデオも制作され、ファンを喜ばせました。同年、KOTOKOがI'veから独立した後も、Outerは不定期ながら活動を継続し、奥井雅美をゲストボーカルに迎えるなど、新たな形態でのパフォーマンスも披露しました。

しかし、2012年12月31日に神奈川県民ホールで行われたKOTOKOのカウントダウンライブ『KOTOKO COUNT DOWN LIVE 2012→2013 -Ecdysis-』への出演を最後に、Outerは「遊結」（無期限活動停止）状態に入りました。このライブ会場では、シングル「RISE-UP!」が限定販売されています。

約9年のブランクを経て、2021年4月にOuterはオリジナルメンバーの再集結と共に活動再開を発表しました。これはI'veが結成20周年を迎える記念プロジェクトの一環として実現しました。同年6月23日には、NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパンより1stスタジオ・アルバム『Rebellious Easter』を発売し、待望のメジャーデビューを果たしました。そして7月4日には東京・豊洲PITにて、復活後初となるワンマンライブ『Outer one-night stand GIG "Rebellious Easter"』を開催し、再びその唯一無二のサウンドをファンに届け、今後の活動への期待感を高めています。

Outerは、I'veサウンドの持つ可能性と、KOTOKOという稀有なボーカリストの新たな側面を提示する存在として、特別な立ち位置を確立しています。その力強くも実験的なサウンドは、今なお多くのリスナーを魅了し続けています。

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