Over (オフコースのアルバム)

アルバム『over』の概要

『over』（オーヴァー）は、1981年12月1日にリリースされたオフコースの通算9作目となるオリジナル・アルバムです。このアルバムのタイトルは単に「超える」という意味だけでなく、バンドに対するさまざまな解釈を生むこととなりました。特に前作『We are』との関連から、「We are over」（我々は終わりだ）と受け取られ、解散の暗示があるとの噂が立ちました。けれども、リーダーの小田和正はインタビューでこのタイトルに「自らを超えていく」という意図を込めていると説明しました。

背景と制作

しかし、実際には鈴木康博がグループを離れることが既に決まっており、小田は鈴木が不在のオフコースを続けることができないとの強い思いを抱いていました。このことから、解散の可能性についても検討されていたことがうかがえます。1982年に行われた武道館でのコンサートでは、名曲「言葉にできない」の演奏時に「We are over, Thank you」というメッセージが映し出され、ファンに衝撃を与えました。このことが、ファンやメディアの間で解散の噂を一層拡大させる要因となりました。

レコーディングとドキュメンタリー

このアルバムのレコーディングの模様は、NHKのドキュメンタリー番組『若い広場』で放送され、ファンにとっては貴重な情報源となりました。アルバムに収録された楽曲の中には、後に小田がシングル『ダイジョウブ』のカップリングとして再録した「哀しいくらい」も含まれています。

アートワーク

アルバムジャケットや歌詞カードに使用された写真は、1980年から1981年にかけて行われたオフコースのコンサートの最終日のアンコールで「僕等の時代」が演奏されている際のシーンを捉えたものです。これにより、視覚的にもファンに強いメッセージを送りました。

リイシュー情報

本作は、2005年にオリジナル・アルバム15タイトルを紙ジャケットで復刻した際に再リリースされました。これは、レコード・デビュー35周年にあたる特別企画であり、24ビット・デジタル・リマスタリングによって音質も向上しています。2009年にはSHM-CDフォーマットで再発され、多くのリスナーに手に取られ続けています。

収録曲

以下は、アルバム『over』に収録されている主な楽曲一覧です:

• - 心 はなれて
• - 愛の中へ
• - 君におくる歌
• - ひととして
• - メインストリートをつっ走れ
• - 僕のいいたいこと
• - 哀しいくらい
• - 言葉にできない

クレジット

本作のリマスタリングは行方洋一が担当し、ジャケット資料には喜多雅美が協力しています。また、ライナーノーツは田家秀樹によって記されています。これらの要素が一つになり、アルバム『over』がほかの作品と一線を画す完成度を生んでいます。

このように、『over』はオフコースにとって重要な作品であり、その歴史的な背景やリリースから読み取れるメッセージは、多くの音楽ファンに強く印象を残しています。

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