P-35 (航空機)

P-35 戦闘機

P-35は、1930年代後期にアメリカ陸軍航空隊のために開発された戦闘機で、製造を担当したのはセバスキー社（Seversky）です。この機体は無愛称ですが、全金属製の構造を持つ引込脚や密閉式コックピットを備えた、アメリカ陸軍初の単座戦闘機としての地位を確立しました。自らの系譜を持つP-35は、その後の戦闘機設計に多大な影響を与えました。

概要

1935年、アメリカ陸軍はP-26の後継機として新たな追撃機の開発を各社に依頼しました。カーチスやヴォート・シコルスキー・エアクラフト、コンソリデーテッドなどの有名メーカーが応じる中、新興のセバスキー社も提案に名を連ねました。セバスキー社の主任設計技師であるアレキサンダー・カルトベリは、最初にSEV-2XPという機体案を提示しましたが、性能面での問題や追撃機としての適用性から単座型のSEV-1XPに改良されました。この試作品のエンジンに問題が発生したため、最終的にはライトR-1820-G5サイクロンからP&WR-1830-9ツインワスプに変更し成功を収めました。

1936年6月、P-35は制式採用され、77機が発注されるに至ります。この機体の配備が1937年7月から始まり、武装として7.62mmと12.7mmの機関銃を機首に搭載、オプションとして爆弾を装備することも可能でした。外観には当時の技術的制約を反映したデザインが見られ、主車輪の形状や胴体の絞り込み、大きなキャノピー等が特徴的です。

輸出と運用

P-35はアメリカ陸軍での運用に加え、スウェーデンにも輸出され、EP-1-06という名称で呼ばれていました。アレキサンダー・セバスキー社長が直接操縦するデモフライトが成功を収め、120機の大口発注が実現しました。しかし、最終的には1940年の航空機輸出禁止政策によって、全機の引き渡しが叶わず、残りの機体はアメリカ陸軍が引き取ったのです。

P-35の改良型

P-35の輸出版であるP-35Aは、エンジンが強化され、武装も充実しました。エクアドルには12機、フィリピンには48機が納入されたが、フィリピンでの運用中、日本軍の侵攻によりほぼ全機が地上で破壊されました。P-35Aは太平洋戦争開始時には完全に旧式化しており、実戦に参加することはありませんでしたが、エクアドル空軍では1947年まで使用され、スウェーデン空軍ではJ9として1953年まで現役でありました。

派生型

P-35の派生型には、複座型の2PAや、エンジンの改良を行ったXP-41、海軍用に改修されたXFN-1が存在します。特に2PAは海軍日本に20機が輸出され、中国戦線で使用されました。

仕様情報

• - 乗員: 1名
• - 全長: 8.2 m
• - 全幅: 11.0 m
• - 全高: 3.0 m
• - 重量: 空虚重量2,070 kg、運用時重量2,770 kg、最大離陸重量3,490 kg
• - 動力: P&WR-1830-45ツイン・ワスプ
• - 離昇出力: 1,050馬力
• - 最大速度: 499 km/h
• - 巡航速度: 418 km/h
• - 航続距離: 1,530 km
• - 実用上昇限度: 9,570 m
• - 上昇率: 9.74 m/s
• - 武装: 12.7mm機関銃×2、7.62mm機関銃×2、爆弾350 lb

このようにP-35はアメリカ陸軍航空隊の初期の空戦機として、多くの重要な役割を果たしました。

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