P-59 (航空機)

P-59 エアラコメット

P-59エアラコメット（Bell P-59 Airacomet）は、アメリカのベル社が第二次世界大戦後に開発した初期の双発単座ジェット戦闘機です。この機体はアメリカ陸軍航空軍に採用されたものの、性能が期待外れであったため、主に試験機としての役割を果たしました。また、アメリカ海軍にもYF2L-1エアラコメットとして数機が提供されたものの、結局は採用には至りませんでした。愛称の「エアラコメット」は「空飛ぶ彗星」を意味します。

概要

エアラコメットの開発は、1941年頃から始まりました。この時期、イギリスからの技術協力を受けて、ジェット戦闘機の構想が進められました。1942年には設計が大方固まり、3月には初試作機として13機のYP-59が注文されました。

1942年9月、ダミーのプロペラを装備した機体がテスト場であるミューロック乾湖に輸送され、その後の試験が進行しました。初飛行は1942年10月1日に実施され、浮き上がりは地上での滑走試験中に達成されました。

しかし初期のジェットエンジンは、出力が低く、信頼性も課題があり、実用化には至りませんでした。それでも1943年にはP-59Aの量産型が80機発注されたものの、性能が期待外れだったため、最終的には30機しか製造されず、残りの機体はキャンセルされました。研究目的でイギリス空軍に1機、アメリカ海軍にはYF2L-1として3機が提供されましたが、いずれも高評価は得られませんでした。

設計

P-59エアラコメットの特徴的な設計は、葉巻のような胴体構造に加え、翼の配置が中翼で直線的です。エンジンの配置は、主翼の付け根に左右それぞれ1基ずつ搭載され、エアインテイクやノズルは胴体脇や主翼の前後に設置されています。これにより、機体自身の性能は低かったものの、エンジンとエアインテイクの配置は当時の他の機体に比べて進歩しており、後のジェット戦闘機における基本的なレイアウトの先駆けとなりました。

さらに、武装は機首に集中配置されており、37mm機関砲や12.7mm機銃が装備されています。しかし、ジェットエンジンの排気口が機体に密接していたため、排気熱が機体を加熱するという設計上の問題点も存在していました。

諸元

• - 全長: 11.63m
• - 全幅: 13.87m
• - 全高: 3.76m
• - 自重: 3.6t
• - エンジン: GE-J-31ターボジェットエンジン（推力 908kg）×2
• - 武装: 37mm機関砲1門、12.7mm機銃3門、60 lb (30 kg)ロケット弾8連装、910kgの爆弾
• - 乗員: 1名
• - 最大速度: 664km/h

現存する機体

現在でもP-59エアラコメットの一部機体が保存されていることがあります。特に、航空関連の博物館で見かけることが多く、歴史的な価値が評価されています。

登場作品

ゲーム内では『鋼鉄の咆哮 ウォーシップコマンダー』にアメリカ型航空機として登場し、史実に基づいた武装も再現されています。

このようにP-59エアラコメットは、初期のジェット戦闘機としての役割を果たしましたが、その性能ゆえに訓練用機や試験機としての歴史が刻まれています。

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