P.7 (航空機)

PZL P.7: ポーランドの先駆的戦闘機

PZL P.7は1930年代初頭、ワルシャワのPZL社により開発されたポーランドの戦闘機で、その優れた設計は空軍に新たな可能性をもたらしました。1933年にポーランド空軍の主力戦闘機として採用されたこの機体は、全金属製の単葉機として初の量産モデルの一つであり、当時の航空技術の最前線を象徴する存在でした。しかし、1930年代末にはその性能が時代に追いつかず、後にPZL.P11cにバトンタッチされることになります。

設計と開発

PZL P.7の開発は、才能ある設計者ズィグムント・プワフスキの手によってスタートしました。彼は1928年に全金属製の単葉戦闘機PZL.P.1を設計し、その高翼配置とガル翼による優れた視界を実現しました。この翼設計は「ポーランド・ウイング」とも称されましたが、空軍の意向で改良型PZL.P.6は空冷星型エンジンを搭載することになり、量産には至りませんでした。

その後、1930年に初飛行を果たしたPZL.P.7は、強力なジュピターVII Fエンジンを装備し、当時の航空機として高高度性能に優れていました。初期型からの設計変更もあり、1932年から本格的な量産が始まりました。結果的に、149機が生産され、これによりポーランド空軍は全金属の戦闘機で構成される世界初の空軍となったのです。

技術的特徴

PZL P.7は全金属製で、ジュラルミンによる外皮を有する単葉機です。高翼配置のガル翼と固定脚を備えた典型的な仕様で、機体の主翼は二本の桁を持つ矩形翼で設計されています。また、エンジンは空冷型のブリストル・ジュピターVIIFを装備し、武装は7.92mmのヴィッカース機銃が2丁搭載されています。最大速度は327km/h、航続距離は600kmで、かつての技術力を誇る機体でした。

実戦記録

PZL P.7は1933年にポーランド空軍に配備され、旧式化するまで多くの実戦に参加しました。1939年の第二次世界大戦勃発時、約30機が現役であったものの、技術の急速な進歩により早くも旧式となっていました。しかし、ポーランド空軍はこの機体を戦争の初期に使用し、勇敢にドイツ軍の攻撃に立ち向かいました。実戦には数十機が参加し、撃墜数は7機に達しましたが、損失は22機に上るという厳しい戦況に直面しました。

戦争が進むにつれ、多くのP.7が壊滅的な損失を受け、ルーマニアへ逃れる機体や、ドイツ軍に捕らえられた機体もいくつかありました。捕獲されたP.7はドイツ空軍によって訓練用に利用され、ソ連軍にも数機が接収されました。

派生型

• - P.7/I: 最初の試作機
• - P.7/II: 2番目の試作機でタウネンドリングを装備
• - P.7a: 量産型

使用国

• - ポーランド: ポーランド空軍
• - ドイツ: 捕獲された機体が訓練用に使用
• - ルーマニア: 抑留機を訓練用に使用
• - ソ連: 接収された機体を訓練用に使用

仕様

• - 乗員: 1
• - 用途: 戦闘機
• - 全長: 6.98 m
• - 全幅: 10.57 m
• - 全高: 2.69 m
• - 翼面積: 17.9 m²
• - 自重: 1,090 kg
• - エンジン: ブリストル・ジュピターVIIF

PZL P.7は、そのデザインと技術的革新によってポーランド航空機史に名を刻みましたが、やがて歴史の中に埋もれていきました。

もう一度検索