PARQUET

ゆずソフトが新たに立ち上げた全年齢向けブランド「ゆずソフトSOUR」の記念すべき第1作目として、2021年7月31日にPCおよびスマートフォン（iOS/Android）向けにリリースされた恋愛アドベンチャーゲームが『PARQUET』（パルケ）です。いわゆるロープライス作品に分類される価格帯でありながら、母体となるゆずソフトのメインブランドで活躍するクリエイターたちが製作を手掛けている点が大きな特徴です。システム面においても、ゆずソフトのフルプライス作品で培われたノウハウが活かされており、セーブ機能やキー設定など、基本的な操作感は本家タイトルと遜色なく快適にプレイできます。

物語の舞台は、最先端のIT技術、特に「BMI（Brain-Machine Interface）」という機器が人々の生活に深く浸透した未来都市です。このBMIを含む電機製品を製造・販売する大手企業「伊吹」では、業績向上を目指し、BMI技術を駆使して生み出された特殊な存在である主人公が改革を推進していました。彼はその能力によって目覚ましい成果を上げ、企業の立て直しに成功します。しかし、改革の過程で解任させたある取締役から浴びせられた「出来損ないの人形」という侮蔑的な言葉が、主人公の心に深く突き刺さります。人間とは何か、普通とはどういうことかを知りたいという強い衝動に駆られた主人公は、「伊吹カナト」という新たな名前を得て、管理された環境を離れ、外の世界へと足を踏み出します。

慣れない外部での生活初日、好奇心から飲んだアルコールに苦しんでいるところを、心優しい女性・茨木リノに助けられます。翌日には、街中でトラブルに巻き込まれていたところを、快活な女性・城門ツバサに救われます。住所も戸籍もないカナトを見たツバサは、彼にルームシェアを持ちかけます。承諾し、二人の暮らす部屋へ案内されたカナトは、ツバサがすぐに眠りにつくのを目撃します。しかし、しばらくして目を覚ましたのは、先ほどまでそこにいたツバサではなく、ウィッグを外したリノの姿でした。ここで、リノとツバサが昼夜で一つの体を共有しているという驚きの事実が明らかになります。リノの同意も得て、こうしてカナトと、一つの体を分かち合う二人のヒロインとの奇妙な共同生活が始まります。

その一方で、舞台となる街では、BMI技術を悪用した巧妙な犯罪が頻発しており、物語は主人公たちの日常と社会的な事件が交錯しながら展開していきます。

登場人物は以下の通りです。

伊吹 カナト: 物語の主人公。BMI技術により生み出された、魂の拡張という特殊な能力を持つ存在。人間を知るため外部へ出る。
茨木 リノ: ヒロインの一人。クールな外見とは裏腹に優しい心の持ち主で、困っている人を放っておけない。城門ツバサと体を共有している。
城門 ツバサ: ヒロインの一人。明るく活動的な性格で、食べることが大好き。故人だが、BMI技術でリノの体に人格を移植することで延命している。
三吉 愛花: 主人公が所属していた企業「伊吹」の女性社員。カナトの管理役であり、「伊吹カナト」という名前を与えた人物。
熊童 亜弥: 茨木リノが働くフラワーショップの店長。
金平 仁香: 街でカナトにBMI関連商品を売り込みに来た女性。
* マスター: 城門ツバサが働いているカフェの店長。

主なスタッフとして、キャラクターデザイン・原画をこぶいち氏、むりりん氏、羽純りお氏が担当。SD原画をこもわた遙華氏、シナリオを天宮りつ氏が手掛けました。音楽はFamishin氏、Angel Noteが担当し、オープニング主題歌「BEYOND」は安月名莉子さんが歌唱しています。

本作は、近未来のテクノロジー社会を舞台に、人間性や存在意義を問うテーマ性と、個性的なキャラクターたちとの温かい交流を描いた作品と言えるでしょう。ロープライス作品でありながら、ゆずソフトの持つブランド力とクオリティが凝縮されたタイトルとして注目を集めました。

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