PB (拳銃)

PB（ПистолетБесшумный）の概要

PBは1960年代にソビエト連邦で開発された消音拳銃で、特に特殊任務や暗殺などでの使用を目的としています。元の設計は、有名なPM（Пистолет Макарова）を基にしており、GRAUコードでは6P9と呼ばれています。この拳銃は1967年に開発が進められ、冷戦時代の緊張を反映した重要な兵器の一つとなりました。PBは当初、厳しい機密保持のもとに運用されていましたが、1970年代後半のアフガニスタン紛争中、ソ連の特殊部隊スペツナズが装備していたことが発覚し、その存在が広く知られるようになりました。

構造と設計

PBのデザインは、PMに似た形状を基本としていますが、消音機能が強化されている点が特徴的です。具体的には、半一体型のサプレッサーが取り付けられており、これにより発射音を著しく抑えることが可能です。PBにおいて共通する部品はPMとはほとんど存在せず、その独自の設計が際立っています。

サプレッサーは前後に分かれており、後半部分は銃本体に一体化して設計されています。この後半部分は銃身を覆う形で配置され、その内部には金網製のエレメントが内蔵されています。前半部分は銃の先端に取り付けられる形になっており、簡易構造の隔壁（バッフル）がいくつか組み込まれています。銃身側面にはライフリングに沿って多数の小穴が開いており、ここから発射時に生じる高温・高圧ガスがサプレッサー内に拡散し、冷却されることで音を減少させます。また、弾丸の速度も音速を下回るように設計されており、これにより衝撃波が発生しないため、ほぼ完全な消音性能を実現しています。サプレッサーはいったん取り外すことも可能で、外部に取り付けなしでの発砲も対応しています。

機構の一つとして、リコイルスプリングが特異な形で構成されています。一般的な自動拳銃とは異なり、L字型の部品を介してグリップ内に配置されています。この設計は、サプレッサーの構造からリコイルスプリングをスライド内に収める物理的なスペースが不足しているためです。また、グリップパネルのデザインも、PMで見られた星型の配置からダイヤ型に変更されています。

照準器には暗い環境でも視認しやすくするための白点が設けられており、戦術的に便利な仕様を持っています。PB専用の革製ホルスターも用意されており、銃本体とサプレッサーを分けて収納することが可能です。

使用国

PBは主にソビエト連邦やロシアにおいて使用されています。特にソ連軍やロシア連邦軍の偵察部隊、特殊部隊、さらには旧KGBの管轄部隊であるアルファ部隊やヴィンペル部隊での利用が確認されています。一部の旧ソ連スラヴ圏国でも継続して使用されていて、例えばウクライナ軍、ジョージア軍、シリアの特殊部隊においてもPBが装備されています。

このように、PBは冷戦時代から今日に至るまで、多様な特殊部隊による幅広い運用がされ続けています。また、その特異な設計と消音能力は、特別な任務の遂行において極めて重要な役割を果たしています。

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