PB4Y-2 (航空機)

PB4Y-2 プライヴァティア：私掠船の名を持つ哨戒爆撃機

PB4Y-2 プライヴァティア（Consolidated PB4Y-2 Privateer）は、アメリカのコンソリデーテッド社が開発し、第二次世界大戦中にアメリカ海軍が運用した哨戒爆撃機です。「プライヴァティア(Privateer)」とは私掠船を意味します。戦後にはP4Y-2 プライヴァティア、P-4 プライヴァティアと名称が変更されました。

開発の経緯

アメリカが第二次世界大戦に参戦すると、長距離哨戒機の増強が急務となりました。当初、アメリカ海軍はボーイング社のXPBBシーレンジャー飛行艇を主力とする予定でしたが、B-29爆撃機の増産が優先され、XPBBの量産は見送られました。そこで、アメリカ陸軍との協議により、XPBB生産用のレントン工場をB-29の生産に転用する代わりに、B-24リベレーター爆撃機を海軍向けの長距離哨戒機として割り当てることになりました。こうしてPB4Y-1シーリベレーターが開発され、1942年から部隊配備が開始されました。

PB4Y-1は優秀でしたが、海軍はより洋上哨戒に適した機体を求めました。コンソリデーテッド社は、PB4Y-1を改良したPB4Y-2（社内モデル100）を開発することになったのです。PB4Y-2の開発は1943年5月に開始され、試作機XPB4Y-2は同年9月に初飛行しました。

設計の特徴

PB4Y-2は、B-24の特徴であった双垂直尾翼を、背の高い単垂直尾翼に改設計しました。また、PB4Y-1の運用経験から、高高度飛行関連の装備を廃止し、機体背部に12.7mm連装機銃を持つマーチン製A3D銃塔を2基、機体後方側面銃座に12.7mm連装ERCO250THE銃塔を2基装備しました。ERCO250THE銃塔は射界が広く、機体下部のスペリー13A球形銃塔は不要となり、廃止されました。

機首と尾部にはPB4Y-1と同じく、12.7mm連装ERCO250SH銃塔と12.7mm連装コンソリデーデットA6B銃塔を装備し、合計12.7mm機銃12丁という重武装となりました。電子装備としては、AN/APA-17HF方位測定器やAN/APR-5レーダー受信機などを機首下部のフェアリングに搭載しました。

単尾翼化や射界の向上といった設計変更が行われましたが、低高度専用となったためターボ過給器が撤去されました。しかし、動力機銃塔や装甲板の追加により、自重は2,200kg以上も増加し、PB4Y-1に比べて最大速度は93km/hも低下しました。長距離飛行時の操縦士の負担を軽減するため、搭乗員に航空機関士が追加されました。

戦歴

PB4Y-2は1944年5月から実戦部隊に配備され、主に南西太平洋方面で活動しました。日本本土への偵察にも投入され、1945年8月4日には東京上空にも飛来しました。当時、「PB4Y12 プライヴェティーア」という名前で、B-24の改良型であることや、シルエットがB-32に似ていることが報じられました。

第二次世界大戦終結後は、XP4Y-1コレギドー飛行艇の名称を継いだP4Y-2に改称され、引き続き対潜哨戒任務に使用されました。

各型

XPB4Y-2: 試作機。当初はPB4Y-1と同じシーリベレーターの愛称が予定されていました。PB4Y-1より3機改造。垂直尾翼は双尾翼のままです。
PB4Y-2: 単尾翼の生産型。愛称はプライヴァティア。1951年にP4Y-2に改称。736機製造。
PB4Y-2B: ASM-N-2 BAT誘導爆弾搭載機。1951年にP4Y-2Bに改称。
PB4Y-2G: 沿岸警備隊向けの、海上救助及び天気予報用の型。P4Y-2Sより改造。1951年にP4Y-2Gに改称。
PB4Y-2K: 無人標的機型。1952年にP4Y-2K、さらに1962年にQP-4Bに改称。
PB4Y-2M: 気象偵察機型。1951年にP4Y-2Mに改称。
PB4Y-2P: 写真偵察機型。1951年にP4Y-2Pに改称。
PB4Y-2S: 対潜レーダーを搭載した型。1951年にP4Y-2Pに改称。

性能諸元

全長: 22.73 m
全幅: 33.53 m
全高: 9.17 m
主翼面積: 97.36 m2
自重: 12,467 kg
全装備重量: 28,123 kg
最大離陸重量: 29,500 kg
乗員: 11 名
発動機: P&W R-1830-94 空冷星型14気筒 1,350馬力 × 4
最高速度: 482 km/h
巡航速度: 224 km/h
航続距離: 4,540 km
実用上昇限度: 6,400 m
武装: M2重機関銃 × 12挺（連装6基）、爆弾/爆雷/魚雷 5,800kg

現存する機体

（情報なし）

関連項目

偵察機・哨戒機の一覧

外部リンク

Globalsecurity.org

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