航空機関士

航空機関士（こうくうきかんし）について

航空機関士とは、航空機の運航に従事する専門の航空従事者を指し、英語では「フライトエンジニア（Flight Engineer, FE）」と呼ばれています。この職種は航空機の運航における多くの計器類の監視が求められ、特に電子化が進む以前は、機長と副操縦士だけではすべての機器を確認しきれない状況がありました。

概要

航空機は多様なシステムを抱えており、それにはエンジン、与圧装置、燃料系統、空調装置、油圧系統、電気系統などが含まれます。航空機関士の基本的な任務は、これらのシステムの操作や監視、さらには燃料や重量の計算、離着陸時の速度計算などです。

また、航空機関士は操縦士がスラストレバーを操作する際、エンジンの回転数をチェックし、必要に応じてスラストレバーの微調整を行うこともあります。そのため、航空機関士が搭乗する機体では、スラストレバーが近くに配置され、グリップが設けられていることが一般的です。

技術の進化と航空機関士の現状

近年では、機器の信頼性が向上し、自動制御システムや電子的な集中モニタリングシステムの進化により、航空機関士の必要性は減少しています。これにより、航空機関士が搭乗する航空機は減少し、現在でも搭乗するのは、主にボーイング747の300型以前やエアバスA300などに限られています。軍用機では、緊急時や長時間の作戦に備えて、航空機関士が搭乗することがあるのが現状です。

日本における航空機関士の資格

日本の航空法において、航空機関士は国家資格の一つであり、国土交通省が管轄しています。航空機に搭乗し、発動機や機体の操作を行うために必要な資格です。

操縦装置の具体例としては、補助翼や昇降舵を操る操縦桿、方向舵を操るフットペダルなどがあり、航空機関士はこれらの操作には直接関与しませんが、フラップの調整や降着装置の操作などは行うことができます。航空法第65条では、操縦者だけでは機体の完全な取扱いができない場合、航空機関士を乗せる必要があると定められています。

資格試験は年に2回実施され、18歳以上の受験者には一定の飛行経歴が求められます。特に、日本航空が運航する旅客機は、2009年にボーイング747クラシックが引退したことを機に、すべて航空機関士が不要な機種に切り替えられ、この職種は事実上消滅しました。最後のフライトでは、航空機関士が乗客に向けて感謝の挨拶をし、多くの乗客が拍手で応える感動的な場面も見られました。

現在の航空機関士の役割

その後、多くの航空機関士は自らのスキルを活かし、他の関連職へと転職しましたが、自衛隊におけるフライトエンジニアの役割は今も重要です。自衛隊機に乗り、緊急事態における操縦士のサポートを行う重要な役割を担っています。

航空機関士という職は減少したものの、彼らの持つ知識と技術は航空業界において依然として貴重な資源であり続けています。

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