PIED PIPER

the pillowsの15枚目のアルバム『PIED PIPER』は、バンドがロックへの情熱を再燃させ、原点回帰を試みた作品として位置づけられます。アルバムタイトルは『ハーメルンの笛吹き男』を意味し、その寓話のように、the pillowsの音楽が聴く者をロックの世界へと誘うというコンセプトが込められています。

制作にあたり、前作の「ライン録り」から一転、「すべてアンプで録る」というテーマを掲げ、バンドサウンドの持つダイナミズムを最大限に引き出すことに注力しました。タイトルトラック「PIED PIPER」は、当初ドラムから始まる曲構成でしたが、ハーメルンの笛吹き男の笛の音色をイメージし、ギターサウンドに変更されました。この変更により、曲全体の雰囲気がより深みを増し、アルバムのコンセプトを象徴する一曲となりました。

今作の大きな特徴の一つとして、ロックサウンドを基調としながらも、生の楽器の音色を積極的に取り入れている点が挙げられます。特に「Last Holiday」では、元マルコシアス・バンプの佐藤研二によるチェロ演奏が収録されており、楽曲に深みと奥行きを与えています。この試みは、2008年に発表したシングル「Tokyo Bambi」で東京スカパラダイスオーケストラのホーン隊を迎えた経験から、生の楽器の持つ力と魅力を再認識したことがきっかけとなっています。また、「Purple Apple」では、ロックバンド怒髪天がコーラスで参加し、楽曲に熱量と勢いを加えています。

アルバムのリリース後には、全国25ヶ所を巡るレコ発ツアー「the pillows PIED PIPER TOUR」が開催され、その人気ぶりからZepp Tokyoでの追加公演も行われました。このツアーでは、アルバムの楽曲がライブならではの熱気と迫力で再現され、ファンを魅了しました。

収録曲は、作詞・作曲を山中さわおが担当した楽曲を中心に構成されています。バラエティ豊かな楽曲が収録されており、the pillowsの音楽性の幅広さを感じることができます。

【収録曲】
1. PIED PIPER
2. New Animal
3. No Surrender
4. Last Holiday
5. Tokyo Zombie (The knock came at dead of night)
6. Across the metropolis
7. Purple Apple
8. Tokyo Bambi
9. Ladybird girl
10. That's a wonderful world (song for Hermit)
11. POISON ROCK'N'ROLL

初回限定版には、ミュージックビデオ「PIED PIPER」と「Texan Daily Life」を収録したDVDが付属しています。

【参加ミュージシャン】
真鍋吉明：プログラミング
鈴木淳：ベース
佐藤研二：チェロ (#4)
怒髪天 (増子直純、上原子友康、清水泰次、坂詰克彦)：コーラス (#7)
NARGO (東京スカパラダイスオーケストラ)：トランペット (#8)
北原雅彦 (東京スカパラダイスオーケストラ)：トロンボーン (#8)
GAMO (東京スカパラダイスオーケストラ)：テナーサックス (#8)

『PIED PIPER』は、the pillowsの音楽に対する情熱と新たな挑戦が詰まった、ロックファン必聴の一枚です。バンドの進化と深化を感じさせる、聴きごたえのある作品となっています。

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