POP AND DECADENCE

『POP AND DECADENCE』は、1999年1月27日にavex traxからリリースされたMOON CHILDの3枚目、そして最後のオリジナルアルバムです。前作『MY LITTLE RED BOOK』から約1年2ヶ月ぶりとなる本作は、プロデューサーに井上鑑を迎え、楽曲のアレンジを大きく刷新しました。

これまで浦清英がプロデュースを手掛けていましたが、本作では井上鑑がその役割を引き継ぎ、新たな音楽性を追求しています。このアルバムのリリース翌日には、バンドの解散が発表され、ファンにとっては衝撃的な出来事となりました。

アルバムには、シングル曲としてリリースされた「フリスビー」、「requiem for the man of nomad」、「グロリア」、「STAR TOURS」を含む全15曲が収録されています。特に「グロリア」は、シングルバージョンとは異なるアレンジが施されており、アルバムの終盤には次曲「INTERLUDE」の冒頭部分が組み込まれています。また、ラストシングルとなった「STAR TOURS」は、バンドの最後の輝きを象徴する楽曲として、ファンに長く愛されています。

収録曲は以下の通りです。

1. joy of life
2. フリスビー
3. ミスター・スプラッシュマン
4. ドンファンの食卓
5. ケ・セ・ラ・セ・（ラ）・ラ・バ・イ
6. マリーのコーヒーカップ
7. サン サン サン
8. requiem for the man of nomad
9. 自称ルースター男の懺悔
10. 太陽とシーツ
11. 朝焼けの唄
12. グロリア
13. INTERLUDE
14. STAR TOURS

アルバムの演奏には、MOON CHILDのメンバーである佐々木収（ボーカル、ギター）、秋山浩徳（ギター、マンドリン、シタール）、渡辺崇尉（ベース）、樫山圭（ドラムス）に加え、プロデューサーの井上鑑がキーボードやプログラミングを担当しています。さらに、金子飛鳥（エレクトリックバイオリン）、ジェイク・コンセプション（サックス）、浜口茂外也（パーカッション）など、豪華なゲストミュージシャンが参加しています。

楽曲解説では、佐々木と渡辺が共作した「joy of life」や、セルフプロデュース曲である9thシングル「フリスビー」などが注目されます。また、秋山作曲によるインストゥルメンタル曲「INTERLUDE」は、アコースティックギター一本で演奏されており、その美しい旋律は2005年発売の「COMPLETE BEST」DVDメニュー画面でも使用されました。

「グロリア」は、シングルとは歌詞が異なる部分や、曲の終わりに次曲「INTERLUDE」の出だしが入っているなど、アルバムならではの仕掛けが施されています。また、10thシングルのカップリング曲だった「サン サン サン」も収録されています。

このアルバムは、MOON CHILDの音楽的な幅広さと、メンバーそれぞれの才能が発揮された作品です。解散という悲しい結末を迎えたものの、本作は彼らの音楽遺産として、今もなお多くのファンに愛され続けています。バンドの集大成として、また音楽史に残る名盤として、『POP AND DECADENCE』は、その価値を永遠に失うことはないでしょう。

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