PRIMEQUEST

FUJITSU Server PRIMEQUEST（プライムクエスト）は、富士通が開発・提供する、基幹業務システム向けのIAサーバシリーズです。高い可用性と信頼性を特長とし、重要なエンタープライズアプリケーションの実行基盤として設計されています。当初はItaniumプロセッサを搭載していましたが、後にIntel Xeonへと移行しました。LinuxやMicrosoft Windows Serverといったオペレーティングシステムに対応しています。

歴史

PRIMEQUESTシリーズの展開は、2005年4月6日にPRIMEQUEST 400シリーズがリリースされたことから始まりました。2006年7月19日にはPRIMEQUEST 500シリーズが登場し、これらの初期モデルにはItaniumプロセッサが搭載されました。2008年には500Aシリーズや520Xモデルグループが追加投入されています。大きな転換点は2010年3月で、PRIMEQUEST 1000シリーズよりCPUがItaniumからIntel Xeonに変更されました。以降の全シリーズでIntel Xeonが採用されています。製品ラインアップは継続的に刷新され、2014年4月にPRIMEQUEST 2000シリーズ、2017年11月にはPRIMEQUEST 3000シリーズがそれぞれ発表されています。

特徴

PRIMEQUESTサーバは、エンタープライズ分野で広く使われるLinux（Red Hat Enterprise Linux、SUSE Linux Enterprise Serverなど）およびMicrosoft Windows Server環境をサポートします。特定のシリーズでは、富士通の中規模メインフレーム向けOSであるASP動作機構（1000シリーズまで）やOSIV/XSP動作機構（3000シリーズまで）をエミュレーションで実行する機能も提供されていました。

基幹システムに求められる高い信頼性を確保するため、本シリーズではメインフレームクラスの堅牢性を追求しています。システムを構成する主要な部品は、二重化および同期動作が図られています。電源や冷却ファンといった基本コンポーネントも冗長化されており、単一箇所の障害によるシステム停止リスクを最小限に抑えています。

また、1台の物理サーバ内に搭載されたCPU、メモリ、I/O資源を、物理的または仮想的に最大60個の独立した区画（パーティション）に分割し、各パーティション上で異なるオペレーティングシステムを同時に稼働させることが可能です。これにより、複数の業務を統合し、リソースを効率的に利用できます。例えば、PRIMEQUEST 2000シリーズでは、1パーティション内で最大8個（120コア相当）または4個（60コア相当）のCPU、最大24TBのメモリを構成可能で、高い拡張性を備えています。

採用事例

PRIMEQUESTシリーズは、その性能と信頼性が評価され、様々な分野のミッションクリティカルなシステムに採用されています。代表的な事例としては、2006年7月に自然科学研究機構計算科学研究センターへ、超高速分子シミュレータ用のシステムとして導入されたケースがあります。これは10ノード、合計640コアの大規模システムでした。また、2010年1月には、東京証券取引所の新たな株式等売買システム「arrowhead」の基盤サーバとして採用され、金融取引における高い安定稼働を支えました。

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