PSR B1257+12

PSR B1257+12：パルサーと3つの惑星からなる異色の星系

PSR B1257+12は、地球から約2300光[[年]]離れたおとめ座の方向に位置するパルサーです。パルサーとは、超新星爆発によって誕生した中性子星の一種で、極めて高速で自転しながら、規則的な電波パルスを発する天体です。PSR B1257+12は、1秒間に約16回もの高速で自転するミリ秒パルサーであり、その発見は1990[[年]]、ポーランドの天文学者アレクサンデル・ヴォルシュチャンによるアレシボ天文台での観測によってなされました。

このパルサーの特筆すべき点は、周囲に3つの太陽系外惑星が存在することです。1992年にヴォルシュチャンらによって発見されたこれらの惑星は、それまで惑星は主系列星（自ら核融合反応を起こして光り輝く恒星）の周囲にのみ存在すると考えられていた天文学界に大きな衝撃を与えました。PSR B1257+12の惑星発見以前にも、パルサー周囲に惑星が存在するとの報告はありましたが、後に誤りであると判明しています。そのため、PSR B1257+12の惑星発見は、非常に重要な発見として受け止められました。

惑星の命名と特徴

PSR B1257+12の惑星は、当初は発見順にA、B、Cと命名されていましたが、後に[国際天文学連合]の命名規則に従い、恒星に近い順にb、c、dと改名されました。さらに、2015年にはIAUによる投票の結果、PSR B1257+12とその惑星には、それぞれLich、Draugr、Poltergeist、Phobetorという固有名が与えられました。これらの名前は、ファンタジー小説や神話などに登場するアンデッドや悪夢を司る存在に由来しています。

それぞれの惑星の概要は以下の通りです。

PSR B1257+12 b (Draugr): パルサーに最も近い惑星で、質量は地球の月の約2倍。公転周期は約25日です。当初、太陽風の影響による観測誤差ではないかと疑われましたが、その後の観測によって惑星としての存在が確認されました。
PSR B1257+12 c (Poltergeist): パルサーから2番目の惑星で、質量は地球の約4倍以上。公転周期は約66日です。惑星bとcの軌道の相互作用を観測することで、両惑星の質量と軌道傾斜角が精密に測定されました。
* PSR B1257+12 d (Phobetor): パルサーから3番目の惑星で、質量は地球の約4倍近く。公転周期は約98日です。

4番目の惑星の可能性とその後

1996年には、PSR B1257+12の周囲に4番目の惑星（PSR B1257+12 D）が存在する可能性が示唆されました。土星に似た巨大ガス惑星と推定され、質量は地球の約100倍とされました。しかし、この発見は後に撤回されました。その後、2002年には、さらに小さな天体の存在が示唆されましたが、こちらも撤回され、現在は小惑星や彗星ではないかとの見方が強まっています。

PSR B1257+12惑星系の起源と形成

PSR B1257+12の惑星系は、超新星爆発の残骸である可能性が高いと考えられています。超新星爆発によって恒星の大部分は吹き飛んでしまいますが、惑星は爆発に耐え、現在の軌道に落ち着いている可能性があるのです。もしこれらの惑星が超新星爆発以前から存在していたとすれば、巨大ガス惑星だった可能性が高く、爆発によって大気が吹き飛んだ結果、岩石質の核のみが残されたと推測されています。

PSR B1257+12の惑星系は、惑星系の形成に関する我々の理解を深める上で非常に貴重な情報源であり、現在も活発に研究が進められています。その謎解明は、宇宙における惑星の多様性と形成過程の理解に大きく貢献するでしょう。

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