PV-1 (航空機)

ロッキード PV-1（Lockheed PV-1）

ロッキード PV-1は、アメリカのロッキード社が第二次世界大戦中に開発した哨戒および爆撃機です。この機体は、アメリカ海軍、イギリス空軍及びアメリカ陸軍航空隊で広く使用されました。特にイギリスでは「ベンチュラ（Ventura）」の名で知られ、アメリカ陸軍航空隊ではB-34/B-37として運用されました。

背景

PV-1の開発は1940年、ロッキード社がイギリス海軍からの要請を受けて始まりました。イギリス軍は、当時運用中のハドソンの後継機として、より強力な哨戒爆撃機を望んでいました。その結果、ロッキード社はL-18 ロードスターを元にPV-1を設計したのです。この機体は、強力なプラット＆ホイットニーのエンジンを搭載し、機体性能の向上が図られました。

イギリス空軍での運用

イギリス空軍は1940年に188機のヴェンチュラを発注し、1942年半ばにはこれを配備しました。最初は昼間爆撃任務に使用されましたが、戦闘機の護衛が無いため高い被撃墜率が問題視されました。これにより、イギリス軍はより高速な爆撃機への機種転換を行うことになりました。その結果、ヴェンチュラは沿岸哨戒任務へとシフトしました。最終的に一部は南アフリカやカナダといった他国の軍でも使用されました。

アメリカ陸軍航空軍での運用

アメリカ陸軍はヴェンチュラの使用に興味を示し、B-34 レキシントンとして改称しました。さらに、新たに200機のヴェンチュラ Mk.IIAを追加発注し、RB-34としても知られる観測機や偵察機としても使われました。しかし、多くの機体が海軍へ供出され、陸軍での運用は限られました。

アメリカ海軍での運用

米海軍は1942年にPV-1を納入された後、哨戒任務として運用しました。PV-1は装備や設計の変更が行われ、レーダーなどの新しい機器も搭載されました。1943年2月には就役し、最初にアリューシャン列島での運用が開始され、日本軍の基地への攻撃にも従事しました。特に、夜間戦闘機部隊でも運用されるなど多様な任務が展開されました。

民間利用と改造

戦後はPV-1が各国に供与され、特にカナダや南アフリカにおいては輸送機への改造が行われました。ハワード・エアロ社によって改造されたスーパー・ヴェンチュラは、特に快適な内装や大型の窓を持ち、商業運航にも適した機体へと生まれ変わりました。しかし、1954年には重大な事故も発生し、4人が命を落とす事態となったことも記憶されています。

開発と性能

PV-1は全長15.77 m、全幅19.96 m、高さ3.63 m、自重9,160 kg、全備重量14,096 kgの機体です。2つのP&W R-2800-31エンジンを搭載し、最大速度518 km/h、航続距離は2,670 kmを誇ります。武装としては、胴体内に3,000ポンドの爆弾やロケットを搭載可能です。

このように、ロッキード PV-1は多岐にわたる運用が行われ、戦時の重要な航空機として貢献しました。その存在は、イギリスやアメリカの航空戦力に大きな影響を与えました。

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