Pa.400 (航空機)

ペイヤン・三菱 Pa.400の概要

ペイヤン・三菱 Pa.400は、1930年代にフランスのペイヤン社と日本の三菱重工業が共同で設計した戦闘爆撃機です。この機体は、特に大日本帝国海軍向けに計画されました。設計を担当したのは、ペイヤン社のニコラス・ロラン・ペイヤン氏で、彼はデルタ翼機に関心を寄せていました。

開発の経緯

1938年、三菱重工業はペイヤン氏に連絡をとり、会議が行われました。この会議では、日本海軍が艦上軽爆撃機の設計を依頼し、ペイヤン氏はこの依頼を受け入れました。その結果、Pa.400の共同開発が始まりました。この機体は、戦闘爆撃機または小型戦闘機としての位置づけを持っていました。

日本海軍が求めた性能要件には、800 kmの航続距離、80 mの発艦滑走距離、および800 kgの魚雷または爆弾の搭載能力が含まれていました。これらの仕様を満たすために、ペイヤン氏は航空機の設計に取り組みました。

設計の特徴

Pa.400の設計は、直線翼と低翼配置の主翼を組み合わせ、加えて大型のデルタ翼を持つ水平尾翼を採用した点が目を引きます。さらに、エンジンは2基の空冷星型エンジンを使用し、プロペラは二重反転形式で駆動される仕組みでした。この設計は、ペイヤン氏の独特な技術的アプローチを反映したものです。

特に、主翼とデルタ翼が逆スタッガー翼の配置を持ったことは、彼の過去の設計にはない新たな試みでした。武装には、魚雷や爆弾に加え、プロペラの軸内に機関砲1門、デルタ翼に機関銃4門、尾部に機関銃1門を装備する計画が含まれていました。

技術情報の取得

日本側は、自国内での開発を目指し、Pa.400に関する技術情報の提供をペイヤン氏に要請しました。これを受けて、1938年9月28日にはフランス側の航空大臣が情報の引き渡しを許可しました。しかし、当時の国際情勢の影響により、ペイヤン氏は日本に技術情報を送ることができませんでした。そのため、Pro.400に対する日本側の関心も次第に薄れていき、開発は進まないまま中止されることとなりました。

仕様

Pa.400の計画仕様は以下のとおりです:

• - 全長: 10.0 m
• - 全幅: 6.58 m
• - 全高: 2.68 m
• - 翼面積: 25.0 m²
• - 空虚重量: 2,179 kg
• - 最大離陸重量: 5,860 kg
• - エンジン: ノーム・エ・ローヌ 14M4/5 空冷星型14気筒（最大680 hp） × 2
• - 最大速度: 570 km/h
• - 上昇限度: 4,950 m
• - 航続時間: 12 - 14時間
• - 武装: 機関砲 × 1, 機関銃 × 5, 爆弾または魚雷800 kg
• - 乗員: 1名または2名

Pa.400は戦略的な要素を考慮して設計されたものの、最終的には開発が中止されました。その背景には、国際的な状況や技術情報の受け渡しの問題があったことが影響しています。

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