Pe-8 (航空機)

ペトリャコフ Pe-8

ペトリャコフ Pe-8（ロシア語: Петляков Пе-8）は、ソビエト連邦が第二次世界大戦中に運用した唯一の戦略爆撃機です。この機体は、前任のTB-3の陳旧化に応じて新たに設計され、1,700馬力を発揮するエンジンを搭載していました。1940年に配備が開始され、1941年のベルリン空襲で初陣を飾りますが、その後の運用には様々な課題がありました。

開発

ソ連の赤色空軍はTB-3を使用していましたが、性能の限界が露わになっていました。1934年には新型長距離爆撃機TB-7（ANT-42）の設計が指示され、ツポレフ設計局がウラジミール・ペトリャコフを主任設計技師として迎え、新たな機体の設計が始まりました。1936年には試作機が完成し、同年末に初飛行が行われました。その後、様々なエンジンの換装を経て、1939年には生産が始まりました。

設計

Pe-8は中翼単葉の全金属製機体で、当時のTB-3よりもはるかに近代的な設計でした。エンジンの冷却装置は左右内側のエンジンナセルに集約され、その後方には防御用銃座が設置されました。強力な防御兵装が特徴で、機首、胴体背部、尾部に様々な機関銃や機関砲が装備されていましたが、その爆弾搭載量は4,500 kgと他の重爆撃機に比べて少なかったため、課題も残っていました。

運用

1941年8月9日のベルリン空襲がPe-8の初出撃でしたが、エンジントラブルにより全機が帰還できることはありませんでした。高度8,000mでの速度は競合機よりも優れていたものの、エンジンの信頼性に欠ける問題が顕著でした。試行錯誤の結果、1943年には新たなエンジンへと換装されましたが、特に優れた航空機とは言えませんでした。1942年以降の出撃は減少し、輸送機としての利用が増加しました。1942年には、外務大臣モロトフの訪米に際して、この機体が使用されました。

性能

ペトリャコフ Pe-8は、多くの航空機と同様に空中での性能が求められましたが、その能力には限界がありました。生産は1944年に終了し、総生産機数は100機にも満たず、戦後も一部の運用が続けられました。以下はその性能諸元です。

• - 全幅: 40.0 m
• - 全長: 24.5 m
• - 最大離陸重量: 35,000 kg
• - 最高速度: 時速443 km
• - 乗員: 11～12名
• - 爆弾搭載量: 最大5,000 kg

このように、ペトリャコフ Pe-8は様々な挑戦を経て運用されましたが、その最終的な評価は複雑なものでした。

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