Phantasien

アルバム『Phantásien』について

小泉今日子の11枚目のオリジナルアルバム『Phantásien』は、1987年7月21日にビクター音楽産業から発売されました。このアルバムは、彼女の音楽キャリアにおいて特に重要な位置を占める一枚であり、初の海外録音作品でもあります。また、同年の8月1日には、CMディレクターの李泰栄が手がけたビデオグラムもリリースされました。

アルバムの背景

『Phantásien』のサウンドプロデュースを担当したのは土屋昌巳で、収録曲にはシングル「水のルージュ」がアルバムバージョンとして含まれています。このアルバムがドイツで録音された理由は、小泉自身が独特の音楽スタイルを求めていたからです。「ロサンゼルスは自分に似合わない、ロンドンではありきたりになってしまう」という思いから、彼女はドイツという地を選びました。インスピレーションのきっかけは、テレビで見ることになった児童文学作家ミヒャエル・エンデの作品でした。これが、ドイツでのレコーディングを決意する重要な要素となったのです。実際、レコーディングとビデオ撮影はベルリンで2週間にわたり行われ、小泉は終始この作業に取り組みました。

一貫性のあるストーリー

彼女は常々、アルバム全体に一貫したストーリーを持たせ、各楽曲が互いに連携した世界観を築くことを目指していました。その願いはこの『Phantásien』によって具現化され、聴く者に豊かな音楽体験を提供しています。小泉自身もこのアルバムを非常に気に入っていると語っており、彼女の音楽的成長や芸術的意志を強く感じさせる一作となっています。

作詞クレジットの変化

本作からは作詞クレジットが、これまで使用されていたペンネームの「美夏夜」から本名である「小泉今日子」に変更されました。この変更は、彼女自身の音楽活動に対する真摯な姿勢を象徴しているともいえるでしょう。

発売と再発

『Phantásien』は、初版から20年後の2007年8月22日にデジタルリマスター盤の「Phantasien+2」として再発されました。この再発版では、全曲がデジタルリマスターされ、紙ジャケット仕様に仕上げられました。さらに、新たに2曲のボーナストラックが収録されており、ファンにとって嬉しい要素が加わっています。

結び

『Phantásien』は、小泉今日子の音楽の一つの集大成とも言える作品です。彼女の独自の世界観を感じさせる楽曲と、強いストーリー性が魅力のアルバムであり、リスナーにとって心に残る一枚となっています。音楽に込められた思いや背景を知ることで、さらに深く楽しむことができるでしょう。

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