Popegg

ポップエッグ（popegg）：PS2専用プリンター

ポップエッグは、2000年9月にソニーが発売した、PlayStation 2（PS2）専用プリンターであり、その愛称で知られています。正式な製品名はMPR-G600Aです。ポップエッグは、ゲーム機に印刷機能をもたらし、ユーザーに新しい体験を提供することを目指して設計されました。

概要と特徴

ポップエッグは、PS2に対応したソフトから直接印刷する機能を持っていますが、WindowsやMac OSといったパソコンには対応していません。プリンター自体はキヤノンの技術を使ったOEM製品で、インクカートリッジについても互換性があります。過去に発売された他のゲーム機向けプリンターと比較して、ポップエッグはソニー自身が開発したものであるため、様々なソフトウェアベンダーから多彩な対応ソフトが供給されるという点でユニークです。これによりPS2の標準的なプリンター環境を形成しようとした製品と言えるでしょう。

ポップエッグの発売と同時に、デジタルカメラとの接続に関する新たな仕様「ピクチャーパラダイス」が発表され、ユーザーはデジタルカメラで撮影した画像をPS2を介して印刷できることが期待されました。さらに、ポップエッグのデザインには遊び心があり、側面パネルを交換できるようになっているほか、インクカートリッジの動きに連動して本体の光が左右に変わる演出も施されています。

しかし発売当初は多数のソフトが対応していたにもかかわらず、浸透はさほど進まず、1年後には新しい対応ソフトのリリースが途絶えてしまいました。これに似た製品として、2006年にエプソンが発売したPS2接続可能な「カラリオ」も存在します。

主な仕様

• - プリント方式：カラー インクジェット
• - 最大用紙サイズ：A6
• - 解像度：360×360 dpi
• - 受信バッファサイズ：約1.5MB
• - 給紙方式：オートシートフィーダー
• - インターフェイス：USB 1.1

ポップエッグが対応するインクはEPI-60B（黒）、EPI-60C（カラー）、EPI-60H（カラー、ユニット）です。また、互換品であるキヤノン製BCI-21BLACK（黒）、BCI-21COLOR（カラー）、BC-21e（黒、カラー、ユニット）も使用可能です。

ピクチャーパラダイス

「ピクチャーパラダイス」は、PS2にデジタルカメラを接続して使用するための仕様です。しかし、この仕様はオープンなものではなく、他のメーカーが採用するのには慎重でした。そのため、普及には至らず、特に対応するデジタルカメラが限られたのが現状です。現在でも対応するデジタルカメラはサイバーショットシリーズの一部にとどまっています。

Printfanと対応ソフトウェア

ポップエッグには「Printfan」というPS2用ソフトウェアが付属します。これはピクチャーパラダイスに対応しており、画像の取り込み、アルバム管理、アドレス帳管理、さらには写真シールやハガキ印刷機能などを提供します。Printfanで作成したデータはPS2のメモリーカードに保存可能です。

ポップエッグが対応するソフトウェアには、アイレムの「激写ボーイ2」や、アトラスの「Primal Image FOR PRINTER」、アートディンクの「A列車で行こう2001」などが含まれています。しかし、これらのソフトは多くの実用目的には達しておらず、実用ソフトの売れ行きも芳しくありませんでした。

まとめ

ポップエッグは、PS2のために設計された特異なプリンターですが、その普及には限界がありました。デジタルコンテンツの印刷を望むユーザーには新たな体験を提供したものの、環境の整備や価格の点で他の選択肢に対抗することはできませんでした。それでも、プリンターの視点からゲーム機の機能を拡張した一つの試みとして記憶に残るでしょう。

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