Portland Project

Portland Project（ポートランドプロジェクト）は、Linuxデスクトップ環境におけるアプリケーション開発の統一性を目指すプロジェクトです。その主な目的は、異なるデスクトップ環境間での互換性を向上させ、開発者が特定のデスクトップ環境に依存することなくアプリケーションを開発できるようにすることです。

プロジェクトは2005年に、ポートランドで開催されたOSDL（Open Source Development Labs）の「Linux Desktop Architects' Meeting」で発表されました。当初から、GNOMEとKDEという二大デスクトップ環境のプログラミングインターフェース統合に焦点が当てられていましたが、プロジェクトの最終的な目標は、ウィンドウマネージャの種類や、Linux以外のオペレーティングシステム（例えば、WindowsやmacOS）にも依存しない、普遍的なアプリケーション開発基盤を提供することにあります。

ポートランドプロジェクトの具体的な成果としては、共通のデスクトップインターフェースの提供があります。このインターフェースは、2006年6月26日にベータ版が、同年10月11日にはバージョン1.0がリリースされました。このインターフェースは、主に二つの要素から構成されています。

一つ目は、`xdg-utils`というツール群です。これらは、デスクトップの基本的な操作、例えばファイルの関連付けやアプリケーションの起動などを、統一された方法で行うためのコマンドラインツールを提供します。これにより、異なるデスクトップ環境間での操作の一貫性が保たれ、ユーザーは環境の違いを意識することなく、同じようにデスクトップを操作できるようになります。

二つ目は、`Desktop API`というAPIライブラリです。これは、アプリケーション開発者がデスクトップ環境の機能（例えば、通知やファイル操作）にアクセスするための、標準化されたプログラミングインターフェースを提供します。このAPIを利用することで、開発者は特定のデスクトップ環境に特有のAPIを個別に扱う必要がなくなり、より移植性の高いアプリケーションを開発できるようになります。

これらの要素を組み合わせることで、ポートランドプロジェクトは、開発者がLinuxデスクトップ環境の多様性を気にすることなく、一貫した方法でアプリケーションを開発し、配布することを可能にしています。プロジェクトは、Linux Standard Base（LSB）への組み込みも視野に入れており、より広範なLinux環境での標準化を目指しています。

このプロジェクトの成果は、Debian GNU/Linux、Fedora、OpenSUSEといった主要なLinuxディストリビューションで利用可能です。さらに、Google EarthやPicasaといった、エンドユーザー向けのアプリケーションにも採用されており、その実用性と汎用性を示しています。

ポートランドプロジェクトは、Linuxデスクトップの断片化を解消し、より使いやすく、開発しやすい環境を提供するための重要な取り組みであり、今後のLinuxデスクトップ環境の発展に大きく貢献することが期待されています。

関連項目

freedesktop.org

外部リンク

公式サイト

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