PwC京都監査法人

PwC京都監査法人：独立から統合へ

PwC京都監査法人（PricewaterhouseCoopers Kyoto）は、かつて日本に存在した準大手監査法人です。そのルーツは、旧みすず[[監査法人]]の京都事務所にあります。みすず[[監査法人]]解散時、多くの事務所が他の大手監査法人に吸収される中、京都事務所は独自の道を歩むことになりました。

設立の背景

みすず[[監査法人]]解散時、東京事務所は新日本監査法人、大阪・広島・福岡事務所は監査法人トーマツ、名古屋事務所はあずさ監査法人へそれぞれ移管されました。しかし、京都事務所は当初、あらた監査法人へ幹部が移る予定でしたが、メインクライアントであった京セラの稲盛和夫名誉会長の意向により、独立した監査法人として設立されました。これは、地方事務所が独立した監査法人となる珍しいケースであり、他に熊本事務所がくまもと監査法人として独立した例があります。

京都事務所の歴史は古く、1955年に開設された宮村久治公認会計士事務所がその源流です。任天堂は、この個人事務所時代からの長年のクライアントでした。会計士監査の組織化が求められる中、宮村久治は欧米の監査制度を視察し、1968年に監査法人中央会計事務所の創設メンバーとなり、初代代表社員に就任しました。京都事務所は、いわばみすず[[監査法人]]の源流とも言える名門事務所でした。1971年には、宮村が京セラの上場監査を引き受けたことを機に稲盛和夫と知り合い、稲盛は宮村を「親友」と評し、盛和塾の顧問に招聘しました。

PwCとの関係

京都監査法人は、設立当初からPwCと提携していました。当初は、PwCの協力ファームという位置づけでしたが、2013年には正式にPwCのメンバーファームとなり、2016年には法人名に「PwC」を冠するようになりました。これは、PwCの国際的なネットワークと基準に準拠する動きであり、あらた監査法人と同様にPwCの影響を強く受けるようになりました。

業務内容と規模

クライアント数は準大手監査法人の中では最も少ないものの、業務収入は太陽有限責任[[監査法人]]に次ぐ業界第6位の規模を誇っていました。大手監査法人の系譜から多くの大口クライアントを抱えており、特にKDDIからの収入は監査・非監査合わせて10億円を超えていました。これは、大手4法人以外で10億円超の業務収入を持つクライアントを抱える唯一の法人でした。人員数（公認会計士数）は、太陽・東陽・仰星に次ぐ第8位でした。

経営統合と消滅

2023年6月1日、PwC傘下のあらた監査法人と京都監査法人は統合協議を開始し、12月1日を合併期日としました。両法人は、メンバーファーム加入や法人名変更を通してPwC傘下で対等に併存していましたが、合併への流れは以前から予測されていました。

この背景には、2021年の国際会計士倫理基準審議会（IESBA）による倫理規定の改訂があります。この改訂により、上場企業を含む大会社（PIE）において、特定のクライアントからの報酬が総収入の15%を超える場合、監査人を辞任することが義務付けられました。日本でも同様のルールが2023年4月1日から施行され、京都監査法人は、最大のクライアントであるKDDIからの報酬依存度が高く、このルールに抵触する可能性がありました。また、ニデックの違法配当問題も発生し、報酬依存度をめぐるリスク回避が統合を急ぐ要因となりました。

2023年10月16日、PwCあらた監査法人との合併契約が締結され、12月1日にPwCあらた監査法人がPwC京都監査法人を吸収合併し、「PwC Japan有限責任[[監査法人]]」に改称しました。これにより、PwC京都監査法人は消滅し、新たな体制でのスタートを切りました。

沿革

2007年3月19日：京都監査法人設立届出。
2007年7月1日：みすず[[監査法人]]京都事務所からの業務移管受入。
2013年3月15日：プライスウォーターハウスクーパースのメンバーファームとなる。
2016年12月1日：PwC京都監査法人に名称変更。
2018年7月2日：東京オフィスを移転。
2023年6月1日：PwCあらた有限責任監査法人との統合協議を開始。
* 2023年12月1日：PwCあらた有限責任監査法人と合併し、消滅。


PwC京都監査法人は、その独自の歴史とPwCとの関係を通じて、日本の監査業界において重要な役割を果たしました。その活動は、PwC Japan有限責任[[監査法人]]に引き継がれ、新たな時代を迎えています。

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