Qロケット

Qロケット計画：日本の宇宙開発史における転換点

1960年代後半、日本は自前の技術で宇宙開発を進めるべく、衛星打ち上げロケット「Qロケット」計画に着手しました。これは、宇宙開発事業団（NASDA、現JAXA）の前身となる組織によって推進された重要な計画です。しかしながら、計画は最終的に中止という結末を迎えました。この記事では、Qロケット計画の経緯、技術的目標、そして計画中止に至った背景を詳しく解説します。

計画の背景と目標

Qロケット計画は、日本の宇宙開発における自主開発から技術導入への転換期に位置づけられます。純国産技術によるロケット開発に固執する意見もあった一方で、技術導入の必要性を唱える意見も存在しました。現在では、技術導入への転換は必然的な流れだったという見方が一般的です。

計画の初期段階では、Qロケットは3段目のみ液体燃料、それ以外は固体燃料を用いた4段式ロケットとして構想されました。直径1.4m、高さ25.5m、重量34.1tという規模で、85kgの衛星を高度約1,000kmの軌道に投入することを目指していました。

計画の名称「Q」については、Nロケット計画（後のN-Iロケット）を目指す途中のロケットであることから、「O（ゼロと混同するため）」「P（ペイロードと重複）」を避け、アルファベット順で次のQとなったという説が有力です。

技術的側面と計画の中止

Qロケットは、液体燃料ロケットの技術開発を主目的としていました。特に、3段目には液体推進系と誘導制御技術の開発に重点が置かれていました。これらの技術は、後に日本の宇宙開発において重要な役割を果たすこととなります。

しかし、1969年の宇宙開発事業団発足時に策定された計画では、1972年までに150kgの衛星を高度1,000kmの軌道に投入すること、そして1974年までに100kgの静止衛星を打ち上げるNロケット計画と合わせて進められることとなりました。

しかし、計画はその後、アメリカからデルタロケットの技術導入によるN-Iロケット開発へと方針転換されたことにより中止されました。これは、技術開発の遅れやコストの問題、さらには、より高度な技術を効率的に導入する必要性といった複数の要因が絡み合った結果と考えられています。

計画の遺産

Qロケット計画自体は中止されましたが、その過程で得られた液体推進系や誘導制御に関する技術的知見は、後の日本のロケット開発に大きく貢献しました。特に、Qロケットの3段目と4段目の技術は、それぞれLE-3エンジンとアポジキックモーターとして活用され、日本の宇宙開発技術の向上に寄与しました。

まとめ

Qロケット計画は、日本の宇宙開発史において重要な転換点となる計画でした。計画の中止は残念な結果ではありましたが、その過程で培われた技術や経験は、後の日本の宇宙開発を支える礎となりました。Qロケット計画は、日本の宇宙開発における試行錯誤と技術発展の過程を示す重要な事例として、歴史に刻まれています。 この計画の成功と失敗は、後の宇宙開発計画において、技術導入と自主開発のバランスの重要性を改めて認識させるものでした。また、国際協力の重要性についても示唆するものです。

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