R-17 (ミサイル)

R-17（スカッドB）: ソ連が生んだ戦域戦術ミサイル

R-17（ロシア語: Р-17）は、ソビエト連邦が開発した戦域戦術ミサイル複合9K72「エリブルース」で使用されるミサイルです。GRAUインデックス番号は8K14、アメリカ国防総省識別番号はSS-1C、NATOコードネームはスカッドBとして知られています。西側諸国では一般的に「スカッド」と呼ばれていました。

開発の経緯

R-17の開発は、1947年末に開設された「長距離ロケット特別設計局」（SKB-385）が中心となって進められました。SKB-385は、当初OKB-1の下請けとしてミサイル製造に携わり、技術を習熟していきました。その後、潜水艦発射弾道ミサイルの開発にも携わる傍ら、陸上型の弾道ミサイルの開発にも取り組みました。

短距離弾道ミサイルR-11（8K11）を基に、1958年から1961年にかけて開発されたのが戦域戦術ミサイル複合9K72です。R-17ミサイルは、R-11の射程を若干延長し、命中精度を大幅に高めた改良型として開発され、その精度はR-11の3000mの誤差から450mに軽減されるという、劇的な改善がなされました。1964年には、改良型のR-17M（8K14-1）が製作されています。

特徴

R-17は、敵部隊や指揮地点、飛行場といった重要拠点を破壊することを目的としていました。核弾頭への換装も可能であり、戦略的な抑止力としても期待されました。

移動式発射台を使用するため、固定式に比べて敵からの攻撃を受けにくいという利点があります。当初はR-11と同様のISU-152K自走砲を改造した履帯式の9P19自走式発射装置を使用していましたが、後にMAZ-543Pを基にした車輪式の9P117「ウラガーン」に変更されました。

運用

R-17は1962年に、R-17Mは1967年にソ連軍に制式採用されました。ソ連の軍事供与により世界各国で運用され、特にイラクのアル＝フセインはイラン・イラク戦争や湾岸戦争で多数の実戦使用例があります。輸出型のミサイルはR-300と呼ばれ、イラクのほか、北朝鮮やエジプトへ輸出されました。

メディアへの登場

R-17は、その存在感から、様々なゲーム作品にも登場しています。

ARMA 2: 独立拡張パック"Operation Arrowhead"に登場し、プレイヤーやAIが操作可能です。
メタルギアソリッド3: 作中で名前のみ登場しますが、登場人物の一人であるアレクサンドル・レオノヴィッチ・グラーニンが発射台部分の設計を担当したという設定になっています。

R-17（スカッドB）は、冷戦時代を象徴する兵器の一つであり、その影響は現代においても様々な形で残っています。

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