R-TYPE III

R-TYPE III: THE THIRD LIGHTNING

『R-TYPE III: THE THIRD LIGHTNING』（アールタイプ・スリー ザ・サード・ライトニング）は、1993年12月10日にアイレム（現アピエス）からスーパーファミコン向けに発売された横スクロールシューティングゲームです。

「高密度戦術級暴力型シューティングゲーム」と銘打たれた、往年の名作シューティング『R-TYPE』シリーズの正統な第三弾として位置づけられています。開発は当時アイレムの子会社であったタムテックスが担当しました。本作は、旧アイレムが手掛けた最後のR-TYPEシリーズ作品となります。現在、本シリーズのゲーム事業に関する版権は、アイレムソフトウェアエンジニアリングが保有しています。なお、日本国外市場向けのSNES版はジャレコより発売されています。

ゲーム概要

本作は、初代『R-TYPE』（1987年）がもたらした衝撃には及ばなかったとする意見もありますが、基本的なシステムはしっかりと踏襲しつつ、新たな要素を多数導入しています。初代の基本装備に加え、新兵装として2種類のフォース（それぞれが3種類のレーザーを持ち、合計6種類のレーザーバリエーション）と、性能の異なる2モードの強力な波動砲が追加されました。

スーパーファミコンのハードウェア機能を活かし、拡大縮小といった特殊なグラフィック表現を取り入れ、ステージによっては縦スクロールや、進行方向とは逆向きに進むバックスクロールといった、当時としては斬新な試みもなされています。また、各ステージのボスを撃破した後、前作までのようにリザルト画面を挟まず、シームレスに次のステージへリアルタイムで移行する演出も特徴の一つです。

難易度

Rシリーズは敵弾の速度や数が激しいことで知られていますが、本作は比較的敵弾が低速で少ない傾向にあります（ただし、2周目は敵弾の速度、数、敵の耐久力が大幅に増加し、難易度は極端に跳ね上がります）。その代わりに、敵や障害物の配置が非常に巧妙で、特に終盤は耐久力の高い敵が多く出現します。加えて、各ステージに様々な罠やギミックが仕掛けられているため、前作から続く「覚えゲー」としての要素が非常に強い作品です。Rシリーズらしい硬派でストイックなゲーム性を継承した結果、2周目の難易度は前作に匹敵するものとなっています。

しかし、難易度への救済措置として、ゲームオーバー時のコンティニュー回数は無制限となっています。これにより、プレイヤーは繰り返し挑戦し、ルートや敵の配置を記憶していくことで、初心者でも時間をかければクリアを目指せるようになっています。

主要兵装

自機：R-9Ø（アールナイン・スラッシュ・ゼロ）

本作のプレイヤーが操作する最新鋭の異層次元戦闘機です。第三次バイドミッション「THE THIRD LIGHTNING」完遂のために開発された、R-9直系の最終型に位置づけられます。コードネームは北欧神話の終末を意味する「ラグナロック」。火星基地にて、R-9Sのフレームを流用しつつ基礎設計から見直して新造された機体とされ、Rシリーズの中でも類を見ない圧倒的な高出力を持つと言われています。しかし、単体での製造コストは桁違いに高く、量産性は全く考慮されていません。

主なスペックとしては、他のRシリーズを凌駕する強力な2種類の波動砲、3つのフォースデバイスを制御可能な互換型コンダクタユニットを搭載。ハイパードライブ時の余剰エネルギーを利用する支援兵器「ストラグル・ビット」と、目標を自動追尾する「エレクトロン・ミサイル」を標準装備しています。内部機構にはツインジェネレーター、零式フィードバックシステム（オーバーロードチップ）、光速次元航行ブースター、可変冷却式セミモノコックアーマーが内蔵されており、コクピットには最新のサイバーインタフェース技術が導入されています。

高性能な機体ですが、パイロットに関する特異な噂も囁かれていました。R-9カスタムにおいては、苛酷な戦闘環境に耐えるためパイロットの四肢を切断してユニットに直結させたことが知られていますが、R-9Øの場合は、パイロットユニットに23歳の女性（一部資料ではスゥ＝スラスターとされる）が、幼体固定処理によって体内時間年齢14歳程度の状態で直結されていたというものです。軍はこの噂を否定していますが、真相は不明です。また、作戦に参加したR-9Øのその後の行方も分かっていません。

波動砲（Wave Cannon）

ショットボタン長押しでエネルギーをチャージし、ボタンを離すと高威力の攻撃を放つ、シリーズを象徴する兵装です。

本作では『R-TYPE II』と同様の2段階チャージ式を継承しつつ、さらに2段階チャージの種類を「メガ波動砲」と「ハイパードライブモード」に切り替えることが可能です。前作や次作と異なり、ゲージが溜まると次のゲージチャージがすぐに開始されるほか、フルチャージ状態を永続的に保持できる改良がなされています。ただし、チャージ中にショットモードを切り替えると、蓄積されたゲージはリセットされます。

メガ波動砲: BEAMゲージを2ループチャージすると発動。機体前方に収束貫通型の大型レーザーを発射します。地形や敵を全て貫通する特性を持ち、非常に高い破壊力を誇ります。耐久力の高い敵には通過時間に比例したダメージを与え、通常の敵弾も破壊可能です。発射の瞬間には、機体周囲の余剰エネルギーによる側面や背後への攻撃判定も発生します。
ハイパードライブシステム: モード切り替え後のHYPERゲージを2ループチャージすると発動。前方に波動エネルギーを放散した後、約10秒間、持続的な連射波動砲を放ちます。単発威力はメガ波動砲に劣りますが、集中射撃による短時間での総合的な破壊力はメガ波動砲を上回ります。ボス戦や猛攻時に効果的です。発動中にストラグル・ビットを装備していると、余剰エネルギーを利用したビットの高速回転による攻防一体の支援が行われます。ただし、有効時間を過ぎるとゲージがHEAT表示となり、約12秒弱の間、波動砲がチャージできなくなります。この冷却期間を終えると、波動砲モードは強制的にBEAMに戻ります。ラウンド・フォース選択時のみ、ショットボタン連打を持続することで、オーバーヒートに移行せずハイパードライブモードを継続できる裏技的な仕様が存在します。

R-9Øのハイパードライブ機構は、作中の設定では未完成のプロトタイプであり、一度使用すると機体がオーバーヒートするという問題を抱えています。これを解決するため、機体冷却用の解放式セミモノコックアーマーが装備され、強制冷却を行うことで対応しています。後に『R-TYPE FINAL』に登場する改良型R-9Øは、このオーバーヒートの欠点が克服されています。

フォース（Force）

本シリーズの攻略において極めて重要な役割を担う、自機に装着・分離して使用する無敵のオプション兵器です。特定のアイテム（レーザークリスタル）を取得することで出現・成長し、より強力なレーザーを発射できるようになります。本作では、ゲーム開始時に性能が異なる3種類のフォースから一つを選択できます。難易度設定はありませんが、選んだフォースによって攻撃力や使い勝手が変わるため、攻略のしやすさに影響します。一度選択したフォースは、継続プレイや2周目でも再選択できません。

各フォースはそれぞれ赤・青・黄の3種類のレーザーを搭載しており、取得したレーザークリスタルの色に対応するレーザーのみを使用できます。複数のレーザーを同時に使用することはできません。

ラウンド・フォース: 初代『R-TYPE』の自機が使用していたフォースと同型で、エースパイロット向けとされる旧式ながら、安定性と豊富な実戦データから信頼性の高い傑作とされています。しかし、新鋭フォースと比較すると性能面で見劣りするため、使用するパイロットは限定的です。分離時は4方向にブラスターを発射します。上述の通り、ハイパードライブモード継続の特殊な性質を持ちます。
対空レーザー（赤）: 装着方向に直進。第3形態ではサインカーブを描く2本のレーザーに。破壊力が高く、ビット装備時は補助レーザーも発射されます。
反射レーザー（青）: 装着方向と斜め45°の計3本を発射。地形に当たると直角に反射し、複雑な地形で広範囲を攻撃できますが、威力は低めです。
対地レーザー（黄）: 機体上下に、地形に沿って進む2本のレーザーを発射。前方に攻撃できないため、使いどころが限られます。

シャドウ・フォース: バイド体を一切用いず、人類の技術のみで開発された完全人工の新型フォース。ビット開発者の集大成とされ、機体との連携性に優れ、破壊力よりも融通性や利便性を重視した設計です。即座に呼び戻せるラピッドリターン機構と、全方位攻撃可能なシャドウユニットを2つ内蔵しています。分離時は自機とフォースを結ぶ線上にオールレンジシャドウブラスターを発射します。
リバースレーザー（赤）: 装着方向と斜め45°に計4本。斜め2本は途中で方向転換し、装着方向と逆向きに進みます。フォースの向きに関わらず前後への攻撃が可能で使いやすいですが、威力は若干低めです。方向転換したレーザーの方が威力が高い特徴があります。
オールレンジレーザー（青）: 装着方向に2本、シャドウユニットから各1本、計4本の高威力レーザー。機体の動きに連動して射角が変わり、ほぼ360°を攻撃可能。機体を停止させるとユニットが帰還し、4本全てを前方に集中させることで高い秒間火力を発揮できます。
ガイドレーザー（黄）: 対地レーザーの改良版。装着方向に2本と上下に各1本、計4本の高速で地形を這うレーザーを発射。地形に沿って進み、途切れると直進するため、前作より使いやすくなっています。

サイクロン・フォース: バイド体をゲル状に加工し、制御コアを埋め込んで生成されたフォース。バイド係数が最も高く、破壊力を極限まで追求したプロトタイプが配備されました。分離時は攻撃を行いませんが、周囲に展開するサイクロニックビットがイオンリングを形成し、広範囲の敵や敵弾を破壊します。内蔵アクティブコントローラーにより、分離中のフォースを任意で誘導できます。
スルーレーザー（赤）: 装着方向に楔状のレーザーを発射。地形を貫通しますが、貫通するほど威力・範囲が低減し、やがて消滅します。地形裏の敵を攻撃可能ですが、進行速度が遅く、耐久力の高い敵には不利になりがちです。
スプラッシュレーザー（青）: 装着方向へ放射状にレーザーを発射。敵や地形に命中すると円弧状に爆散し、爆風にも攻撃力があります。第3形態では正面、上下それぞれ2方向の計5方向へ同時発射可能です。
カプセルレーザー（黄）: 装着方向に、一定時間レーザーを連射する特殊なエネルギーカプセルを設置できます。第3形態では画面内に最大2つ設置可能。癖はありますが、単体での破壊力は全レーザー中最高です。敵弾を吸収する能力も持ちます。ビット装備時には敵を自動追尾するサーチレーザーが発射されます。

補助兵装

スピードユニット: 自機の移動速度を1段階上昇させます。最大5段階。
ストラグル・ビット: 自機の上下に最大2つ装備可能。様々な敵弾を消去する防御補助兵装で、特にハイパードライブ時には通常弾も消去可能になるなど、本作では非常に有用です。アイテムの出現数も多めに設定されています。
エレクトロン・ミサイル: 追尾性の光子魚雷。自機から2発の誘導ミサイルを発射します。2つ取得すると発射間隔が短縮されます。前2作と異なり、実体のない光点として表現されています。波動砲チャージ中も一定間隔で発射されます。

設定とストーリー

本作では、これまでの会報誌やサウンドトラック冊子で肉付けされてきたバイドや自機に関する設定が、ゲーム本編でより明確に描かれています。

バイドとの激しい戦いから幾年もの時が流れました。人類は幾度となくバイドの侵攻を退けてきましたが、バイドは想像を遥かに超える進化を遂げ、再び人類の前に姿を現します。その圧倒的な力により、太陽系外周警備艦隊は壊滅に追いやられます。

追い詰められた人類は、ついに最終決断を下します。空間座標θ3681119、銀河系中心域に存在するバイドの中枢「マザーバイドセントラルボディ」への直接攻撃指令。これはすなわち、バイドとの最終決戦を意味していました。

西暦2245年（現在の公式年表では2169年に設定変更）、第三次バイドミッション、オペレーションコード「THE THIRD LIGHTNING」が発動されます。人類が持つあらゆるテクノロジーを結集させた最新鋭のR戦闘機「R-9Ø」が、空間転送砲により目標地点へ射出されました。北欧神話に伝わる終末の日「ラグナロック」の名を与えられた、最強にして最後のR-9が、今、決戦の地へと向かいます。

ステージ構成は全6ステージ。真のエンディングを見るためには、さらに難易度の上昇した2周目をクリアする必要があります。2周目では敵の耐久値や出現パターンが変化し、敵弾の速度と数が著しく増加します。

用語解説

バイド: 作戦の殲滅対象である超束積高エネルギー生命体の総称。自己増殖し多様に進化する特性を持ちます。
バイド係数: バイドエネルギーとも呼ばれ、フォースの出力の度合いを示す値。出力が高いほど破壊力が増しますが、臨界点を超えると制御不能になると考えられていました。後のシリーズでは制御限界を超える技術が開発されています。
異層次元航法推進システム: Rシリーズの戦闘機に標準搭載される、次元隔壁を跳躍する技術。これにより、通常空間に加え、亜空間や虚数空間、異層次元への移動を可能としており、Rシリーズが「異層次元戦闘機」と呼ばれる所以です。

他機種版

ゲームボーイアドバンス版: 海外市場向けに移植されました。グラフィックはSFC版に近いレベルで再現されていますが、ゲームシステムに多くの相違点があり、移植度は低いとされています。特にボスのコアにしかダメージを与えられない仕様変更は、ゲーム性を大きく変えています。
バーチャルコンソール版: Wii向けに配信された移植版。ゲーム内容はSFC版に準じており、移植度は良好でしたが、一部の色合い（水色）の発色に問題がありました。現在は配信終了しています。
* レトロデュオ版: ファミコン/スーパーファミコン互換機用のカートリッジ。『SUPER R-TYPE』との2in1形式で、アイレムの許諾を得て製造されましたが、任天堂のライセンス商品ではありません。

評価

ゲーム誌『ファミコン通信』のクロスレビューでは合計29点、『ファミリーコンピュータMagazine』の読者投票「ゲーム通信簿」では22.0点（満30点）を獲得しています。

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