R4M

R4M: ドイツ空軍の先駆的航空ロケット弾

R4M（ドイツ語: Rakete, 4Kilogramm, Minengeschoss）は、ドイツ空軍によって開発された初期の航空ロケット弾で、主に空対空および空対地の目的で使用されました。特に、その強力な性能から空対空ロケット弾として知られるようになり、発射後の明瞭な噴煙の航跡から「オルカン」（嵐）という愛称がつけられました。この兵器は、第二次世界大戦中の短期間で使用されたものの、その効果的な設計はその後の航空兵器開発に多大な影響を与えました。

開発の背景

R4Mの開発は、ドイツ空軍の戦闘機が対爆撃機任務を遂行する必要性が高まったことに起因しています。当初はフォッケウルフ Fw190の主翼内部に搭載可能なサイズの20 mm MG 151 機関砲が基にされましたが、データにより一般的な4発爆撃機を撃墜するには20 mm弾を約20発必要とされることが明らかになりました。

そのため、より効果的な撃墜手段が求められ、メッサーシュミット Bf109ではより大口径の30 mm MK 108 機関砲が登場しました。この機関砲は、重さやサイズが増したものの、平均1発から3発の命中弾で対象を撃墜可能でした。しかし、MK 108はその重量故に1回以上の攻撃を行うことが難しく、その低い初速により射程が制限されていました。これにより、戦闘機が敵の防空火器に接近しなければならなくなり、危険を伴いました。

この問題を解決するために、より軽量で強力なロケット弾の開発が進められ、R4Mが誕生しました。R4Mは固体燃料で推進される小直径のロケット弾で、標準的な機関砲弾よりも軽量でありながら、優れた射程を持つように設計されました。これにより、より優れた戦闘能力を持つ兵器としての地位を確立しました。

特徴と性能

R4Mは、直径55 mmの弾頭を使用しており、その重量は約3.2 kgです。520 gのヘキソゲン炸薬を内蔵しており、最低でも1,000 mの距離から発射することが可能です。発射の際には、通常12発積みの架台から一斉に発射され、1,000 mの範囲内において効果的な範囲を持ちました。通常、600 mの距離からは6発を0.07秒間隔で発射され、敵に対して高い命中率を誇りました。

R4Mは2種類の弾頭を採用しており、空対空用には通常の「PB-3」、対戦車用には大型の弾頭を備えた「パンツァーブリッツII」（PB-2）が用意されていました。特に空対空用の弾頭は、優れた威力を提供し、たった1発で撃墜を可能にする性能を備えていました。

運用と実績

R4Mを装備した機体は限られており、主にメッサーシュミット Me262やフォッケウルフ Fw 190に搭載されていました。特にMe262との相性が良く、実戦で高い効果を発揮しました。著名なフランスのエースパイロット、ピエール・クロステルマンは、1945年3月にR4Mを装備したMe262がB-17爆撃機を撃墜した記録を記述しています。これにより、ドイツ空軍はこのロケット弾の効果を確信しました。

結論

R4Mは第二次世界大戦中に短期間ながら多大な影響を与えた兵器であり、その後の航空ロケット弾の発展に寄与しました。戦後もその技術はアメリカやソ連の兵器に影響を与え続けました。R4Mの開発と使用は、航空戦における技術革新を象徴する事例として記憶されるべきです。

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