RADIO SAKAMOTO

RADIO SAKAMOTOの軌跡

RADIO SAKAMOTOは、2003年1月5日から2023年3月5日まで、J-WAVEで放送された坂本龍一による音楽プログラムである。この番組は、坂本の独自の音楽観やリスナーとのつながりを深める場として、20年以上にわたって多くのリスナーに愛された。特に坂本の音楽スタイルや思想が色濃く反映された内容となっており、彼の多面的な才能が視聴者に届けられた。

番組の始まりと進化

番組は2003年にブルガリのスポンサーにより不定期でスタートし、同年5月からはNTTデータの協力を得て進行。さらに、リスナーとのインタラクションを強化するために「先見日記」との連携も行われた。2004年にはデモテープ作品をまとめたアルバム「DOCUMÉNTO」が発売され、音楽的な展開も見せている。放送は2004年から偶数月の最終日曜日へ、2005年からは奇数月の第1日曜日に変更されたが、精力的に続けられた。

2007年からスポンサーは外れたものの、J-WAVEのCMが流れる中、番組は堅実にリスナーとのつながりを維持していった。最終回の放送後にはエンディングが流れるなど、放送の形式にも独自の特徴があった。

突然の終了と追悼

2023年3月3日に、同年3月5日の放送が最終回とすることが公式Twitterで発表された。坂本は療養中であったため、大貫妙子が代わりに番組を進行。最終回では、2023年1月に亡くなった高橋幸宏への追悼特集が組まれ、坂本の選曲とメッセージが大貫によって伝えられた。番組の最後には坂本からリスナーに向けたメッセージが届けられ、この歴史的なプログラムに幕が下ろされた。残念ながら、番組終了から3週間後、坂本自身もこの世を去った。

放送とコーナーの多様性

RADIO SAKAMOTOは毎回多様なコーナーが展開された。その中でも「CDJスピン」では、坂本自身が最新のヒット曲を操作しながら批評するというユニークな試みが行われた。また、「オーディション」コーナーでは、リスナーから送られたデモテープなどから才能を発掘し、発表する場を提供。特にコトリンゴのメジャーデビューをサポートしたことに象徴されるように、多くの新しいアーティストがこの番組を通じて羽ばたいた。

さらに、フィールド・レコーディングなどを含む多様な音楽表現も紹介され、聴取者に新たな音楽体験を提供していた。坂本自身が、このような音楽を通じて自然とのつながりを感じさせる作品を世に送り続けたことは注目に値する。

カリスマとの対談

「カリスマ・サカモト」というコーナーでは、各界で活躍する人物との対談が行われ、若手アーティストの支援の約束が坂本との間で結ばれるなど、番組は音楽の枠を超えた交流の場としても機能していた。これにより、リスナーはさまざまな視点から音楽に触れることができ、坂本の幅広い影響力を実感したことであろう。

まとめ

RADIO SAKAMOTOは、坂本龍一の音楽的な理念や思想を反映しながら、リスナーとの深い関係を築いてきた番組であった。最後の放送から数週間後に坂本が亡くなるという運命的なできごとを経て、彼の音楽とメッセージが多くの人々に響いたことは間違いない。この放送は、単なる音楽番組ではなく、坂本自身の人生の一部でもあり、彼の音楽に対する探求と情熱を象徴するものだった。

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