RAF F.E.2

FE2（RAF Fe2）: 複座複葉戦闘機の歴史

FE2（RAF Fe2）は、第一次世界大戦中にイギリスで開発された推進式の複座複葉戦闘機です。ジェフリー・デ・ハビランドによって設計されたこの航空機は、1915年後半にドイツ軍の高性能機に対抗するために配備されました。型番の“FE2”は“Farman Experimental 2”の略称であり、同時期に推進式航空機を製作していたファルマン兄弟の機体を意識したものです。

この機体は、1916年6月18日に撃墜王マックス・インメルマンを撃墜し、1917年7月6日には著名なパイロット、レッドバロンことマンフレート・フォン・リヒトホーフェンを負傷させるなどの戦績を残しました。原型となるFE2aは、1913年8月に完成しましたが、搭載されたグリーン発動機の性能不足からほとんど生産されませんでした。その後、発動機をビアドモアに変えたFE2bとして再評価され、飛行性能はフォッカー アインデッカーシリーズに対して優位でした。

構造と機能

FE2の設計では、前席に偵察員、後席にパイロットが配置される縦列複座式コクピットを採用。在来の構造とは異なり、後部胴体に装備した発動機は四枚のプロペラを駆動させ、主翼から伸びた四本のブームで尾翼を支える独特のスタイルを持っています。偵察員は旋回式のルイス機銃を操作し、前方と後方に各1機装備。これにより、パイロットや偵察員が協力して敵を攻撃することが可能でした。

また、主翼下には最大235キロの爆弾を搭載することができ、爆撃機としても運用されました。夜間戦闘型の機体の中には、偵察員席にサーチライトやQF 1ポンド砲を装備したバリエーションも存在しました。

改良型と性能

改良型のFE2cは、ツェッペリン飛行船攻撃用の試作型としてルイス機銃の他にサーチライトや37mm機関砲を搭載し、パイロットと偵察員の席を逆に配置したことが特徴です。最終型のFE2dは250馬力のイーグル発動機を搭載し、速度の向上は限定的でしたが、上昇能力や搭載力において改善されました。このように、FE2シリーズは進化を続けながら、もっぱら夜間戦闘や爆撃任務に回されることとなりました。

生産と運用

FE2の生産は続けられたものの、戦争の進展に伴い新型機が登場する中で、序々に任務もシフトしていきました。結局、FE2シリーズは第一次世界大戦の最中、旧式化しながらも運用され続け、戦局において重要な役割を果たし続けました。

主要諸元（FE2b）

• - 乗員: 2名（パイロット、偵察員）
• - 全長: 9.83 m
• - 全高: 3.85 m
• - 翼幅: 14.55 m
• - 最大離陸重量: 1,378 kg
• - 動力: ビアドモア 列型6気筒レシプロエンジン （160 hp）

性能

• - 最大速度: 147 km/h
• - 航続距離: 2時間半
• - 実用上昇限度: 3,353 m

武装

• - 固定武装: 7.7mmルイス機銃1or2（パイロットまたは前方を偵察員操作）
• - 爆弾: 最大235 kg

このように、FE2は第一次大戦期の航空機として、その存在感を示し、航空戦の歴史に名を刻んでいます。

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