RAM・02

RAM 02：1984年シーズンの挑戦者

RAMレーシングは、1984年のF1世界選手権に独自のフォーミュラ1マシン、RAM 02を投入しました。長年にわたりマーチ・グランプリで活躍した経験を持つデイブ・ケリーが設計を手掛けたこのマシンは、チームにとって大きな期待を背負っていました。

開発：軽量化と信頼性のジレンマ

RAM 02は、前モデルと同様にハート415Tターボエンジンを搭載していました。これは、当時の弱小チームが選択肢として現実的に考えられた数少ないターボエンジンの一つでしたが、その信頼性の低さが大きな課題でした。多くのリタイアの原因となり、チームの戦いを大きく阻害することになります。

シャシーは、前モデルと比べて大幅な改良が加えられました。モノコックは、アルミニウムとカーボンファイバーのハニカムコンポジット構造を採用することで、軽量化を実現しました。また、サイドポンツーンのデザインも変更され、空力性能の向上を目指しました。しかし、軽量化と信頼性の両立は容易ではなく、RAM 02は開発段階からこのジレンマと常に闘うことになります。

さらに、アメリカの噛みタバコブランドであるスコール・バンディットをスポンサーに迎え、特徴的な白と濃緑色のカラーリングとなりました。このスポンサーシップはチームにとって財政的な支えとなり、開発や参戦を続ける上で重要な役割を果たしました。

戦績：最高位9位、ポイント獲得ならず

1984年シーズン、RAMレーシングは2台体制で参戦しました。しかし、開幕戦には1台しか間に合わず、フィリップ・アリオーが単独で戦いを挑みました。その後、第3戦ベルギーグランプリから2台体制となり、ジョナサン・パーマーがもう一台のRAM 02をドライブしました。シーズン途中で、パーマーに代わってマイク・サックウェルが起用される場面もありました。

予選では、アリオーとパーマーが計3回の予選落ちを経験し、アリオーはアメリカグランプリ(ダラス)で予選中のクラッシュにより決勝レースへの出場を断念しました。レースにおいても、頻繁なリタイアに見舞われ、チームは苦戦を強いられました。

RAM 02の最高成績は、パーマーが3回記録した9位でした。しかし、シーズンを通してポイントを獲得することはできず、チームの目標達成には至りませんでした。アリオーは10回、パーマーは7回、サックウェルは1回の合計18回の退却を余儀なくされ、マシンの信頼性不足が結果に大きく影響したといえます。

スペック：RAM 02の技術概要

RAM 02は、弱小チームが抱える資金力と技術力の限界の中で、懸命に戦ったマシンの象徴でした。その挑戦は、F1の歴史において忘れられることのない貴重な記録として残されています。

もう一度検索