1984年のF1世界選手権

1984年のF1世界選手権

1984年のF1世界選手権は、FIAフォーミュラ1世界選手権の第35回大会として、3月25日にブラジルで開幕し、10月21日にポルトガルでの最終戦までを含む全16戦で競われました。このシーズンは、特にエンジンの規制強化と新たな才能の登場が印象に残るものになりました。

シーズンの背景

この年、シーズンを通じて「過給機付きエンジン車の最大燃料搭載量220L、決勝レース中の再給油は禁止」といった規制が導入され、ターボエンジンの性能向上は求められる一方で、燃費も新たな課題となりました。マクラーレンはこの年、ポルシェとタイアップし、全16戦中12勝を挙げるという圧倒的な成績を収め、コンストラクターズポイントでは2位に86点差をつける圧勝劇を展開しました。予選ではブラバム・BMWのネルソン・ピケが圧倒的なパフォーマンスを示し、9回のポールポジションを獲得しましたが、レースでの総合力ではマクラーレンが際立っていました。

ドライバーズチャンピオン争い

ドライバーズチャンピオンは、マクラーレンのチームメイト間での争いとなり、アラン・プロストが7勝を挙げ、ニキ・ラウダが5勝を記録しました。ラウダはこの年、ポールポジションを獲得できませんでしたが、レース展開の巧妙さでプロストに対抗しました。最終戦では予選11位からスタートし、2位でフィニッシュ。僅か0.5ポイント差で、F1史上最少得点差でのワールドチャンピオンに輝くこととなりました。

新たな才能の登場

1984年は、新人ドライバーたちにとって記念すべき年でもありました。アイルトン・セナは中堅チームのトールマンからデビューし、特にモナコGPでは大雨の中、ファステストラップを記録しながら過酷なレースを展開しました。最大で30秒の差があったものの、レースの最終周では7秒差まで抑える健闘を見せました。

また、BMWに所属するゲルハルト・ベルガーも印象を残し、ステファン・ベロフとともにティレルからデビューしました。もともとアイルトン・セナと競っていたマーティン・ブランドルも、ティレルからデビューし、健闘を見せましたが、後に「水タンク事件」によりこれらの成果は無効とされてしまいます。

モナコGPの影響

モナコGPは天候の影響で31周終了時点で打ち切られました。規定周回数に達しなかったため、プロストは得たポイントが半分に減少し、最終的に0.5点差でタイトルを逃す悔しさを味わいました。もしレースが続行され、プロストが勝利を収めていたら、年間チャンピオンとなっていた可能性があるのです。

ターボエンジンの復活

アメリカGPでは、ウィリアムズのケケ・ロズベルグがホンダエンジンを搭載したFW09で勝利を収めました。ホンダは翌年からターボエンジン供給者として復帰し、1967年以来の勝利を飾ったのです。

水タンク事件

シーズン終盤には、ティレルが水タンクに微量の炭化水素が含まれていたとしてレギュレーション違反の判定を受け、全ての記録とポイントが剥奪されるという問題も発生しました。

このように、1984年のF1シーズンは、多くのドラマとともに幕を閉じ、モータースポーツ界において重要な年となりました。

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