RAP FREAKS

『RAP FREAKS』（ラップフリークス）は、1999年にコナミが開発した音楽シミュレーションゲームです。BEMANIシリーズの一つとして、シリーズ初の試みとなる「プレイヤー自身の音声（ラップ）」をゲームに取り入れるという、非常に斬新なコンセプトが特徴でした。

筐体概要

筐体外観や画面レイアウトは、同時期に開発されていた『ダンスマニアックス』と類似していました。筐体前面のテーブル上には、左右それぞれのプレイヤー用に「ハンドクラップ」と呼ばれる入力機器が設置され、プレイヤーの音声を録音するためのマイクが左右に配置されています。スタート・セレクトボタンの上方には、録音した音声に特殊効果を与える「エフェクトスライダー」が搭載されていました。

ゲームモードの詳細やゲーム内容は不明な点が多いですが、筐体のレイアウトから推測すると、『ダンスマニアックス』のように中央の入力機器を使用する「センタープレイ」が搭載されていた可能性が高いです。

遊び方

ゲームを始めるには、まずクレジットを投入し、スタートボタンを押します。次に、「ハンドクラップ」を両手に装着し、楽曲を選択するとゲームが開始されます。選曲後、曲の前奏部分が流れ、画面に「REC」（録音）と表示されたら、マイクに向かって音声を録音します。この際、画面には歌詞が表示されますが、判定には影響しないため、適当に音声を録音しても問題ありません。

曲の本編が始まると、画面下からオブジェクトが上昇してきます。オブジェクトには「叩く」と「振る」の2種類があり、「叩く」場合は筐体正面のテーブル面を叩くか、自分の体を叩いてリズムを取ります。オブジェクトが流れるラインは左右2つあり、両手同時に指示が出た場合は、完全に同時に叩くか、両手を合わせるように叩くアクションが必要です。

オブジェクトがクラップゾーンに重なった瞬間に「ハンドクラップ」を正しく動かすと、事前に録音した音声が「ラップ」として再生されます。タイミングが合えば、他のBEMANIシリーズと同様にグルーヴゲージが上昇します。プレイ中、筐体にある「エフェクトスライダー」を左右に動かすことで、音声に特殊効果をかけることができます（判定には影響なし）。グルーヴゲージがなくなるとゲームオーバーとなります。

問題点

二人同時プレイ時には、両サイドに同じ指示が来た場合、向かい合ってハイタッチのように互いの手を叩き合わせることでタイミングを取ることが可能でした。当時のAMショーでは、係員がそのように遊び方を説明し、手遊び歌のように2人組で楽しむことを推奨していました。しかし、実際には息の合った動きをすることが非常に難しく、相方を殴ってしまうという光景も頻繁に見られました。

また、ハンドクラップの装着にはマジックテープが使用されており、一人で両手に装着することが困難でした。AMショー出展時には係員が装着を手伝っていました。さらに、ハンドクラップを装着すると指の自由度が制限されるため、エフェクトスライダーの操作も困難になるなど、インターフェース設計の甘さが目立ちました。

その後

AMショーなどのゲームイベントで公開された後、コナミ直営のゲームセンター「チルコポルト」（現存せず）にてロケテストが実施されました。AMショーでは周囲の雰囲気に乗せられてプレイする人も多くいましたが、「チルコポルト」などの一般的なゲームセンターに設置されると、両手の激しい動きや、自分の音声が再生される恥ずかしさから、ほとんどプレイする人はいませんでした。結局、「チルコポルト」各店舗でのロケテスト後、コナミは市場への発売を断念しました。

AMショー直前のプレスリリースには、収録予定曲として「S,Y,S」「ブラジリア！」「ライフセイバー」「サムライソード」の4曲が掲載されていました。それ以外のオリジナル曲については情報が残っておらず不明です。コナミのコンポーザーの一人であるTOMOSUKE氏が、後にtwitter上で収録曲のうち3曲を担当したと明かしており、これらの楽曲は全てお蔵入りとなり、現在まで他の作品に流用されていません。また、少なくとも「軍隊」「ゴジラ」「病院のICU」「UFOが地球侵略」「サムライ」「ターザン」「サンバカーニバル」などをテーマにした楽曲群が存在したとされ、「ライフセイバー」はそのうちの一つで、病院での蘇生をテーマにした楽曲であり、妹尾和浩氏が作曲したことを明かしています。

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