RGD-5

RGD-5手榴弾：詳細解説

RGD-5（ロシア語: ручная граната, дистанционная）は、ソビエト連邦で開発された代表的な対人破片手榴弾です。「遠投式手榴弾」を意味し、その名の通り、投擲によって敵を殺傷することを目的としています。1954年にソ連軍に採用されて以来、その設計はシンプルでありながら効果的であるため、現在でもロシアをはじめとする旧東側諸国や、世界各地の紛争地域で広く使用されています。

概要

RGD-5は、その長年の製造と使用の歴史から、様々な国でコピー生産されてきました。ブルガリア、中国、グルジアなどがその例です。1つあたり5USドル程度という安価さから、紛争地では大量に使用される傾向があります。現代的な手榴弾と比較すると、CRISAT規格の防弾チョッキを貫通する能力はありませんが、依然として安価で効果的な武器として使用され続けています。

URG-Nは、RGD-5を基に設計された訓練用の手榴弾であり、区別のため白いマーキングが施されています。

設計

RGD-5は、卵型の外観を持つ破片手榴弾です。表面に刻みはありませんが、縦方向の中央に横方向の山が設けられています。これは、手榴弾を握る際のグリップを向上させるための工夫と考えられます。表面は艶消し加工が施され、緑色またはオリーブドラブ色で塗装されることが一般的です。

信管を取り付けた状態での重量は約310グラムです。炸薬には110グラムのTNTが使用されており、爆発時には約350個の破片を飛散させます。この破片による致死半径は約25メートルとされています。

平均的な成人男性が使用した場合、RGD-5の投擲距離は約35〜45メートル程度とされています。理想的な条件下で爆発した場合、半径25メートル以内の人員に殺傷能力があり、3メートル以内であれば確実に死亡させると言われています。

信管

RGD-5には通常、3.2〜4秒の遅延信管であるUZRGM信管が使用されます。UZRGM信管は、RG-41、RG-42、F1など、他の多くのソ連製手榴弾にも採用されている汎用性の高い信管です。点火時に大きな音が発生することが特徴です。また、改良型のUZRGMや、より近代的なDVM-78信管を使用することで、遅延時間を0〜13秒の範囲で自由に設定することも可能です。これらの信管は、ブービートラップの発火装置としても利用されることがあります。

小銃擲弾としての利用

AK-47自動小銃には、カップ型の擲弾発射器が少数生産されました。これを使用することで、RGD-5手榴弾を小銃擲弾として発射することが可能です。使用方法は、まずRGD-5を手榴弾発射器に挿入し、安全ピンを抜きます。次に、薬室に専用の空包を装填し、銃床を地面に押し付けて発射します。この発射器を使用した場合の最大有効射程は約150メートルとされています。

まとめ

RGD-5手榴弾は、そのシンプルで効果的な設計、安価な価格、そして長年の使用実績から、世界中の紛争地域で広く使用されている兵器です。現代的な手榴弾と比較すると性能面で見劣りする部分もありますが、その信頼性と入手性の高さから、今後も使用され続けると考えられます。

参考文献

Hogg, Ian V. (1991). Jane's Infantry Weapons 1991-92. Jane's Information Group. ISBN 0-7106-0963-9

外部リンク

Photos of RGD-5 grenades at inert-ord.net
Labelled diagram of an RGD-5 grenade
RGD-5 data (in Russian)
East German rifle grenade incorporating RGD-5
Various photos of Russian RGD-5s
Photo of Chinese Type 59 grenade (RGD-5 clone)
Video #2 of RGD-5 being thrown
* Video #3 of RGD-5 being thrown

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