RH-53 (航空機)

RH-53D シースタリオンとMH-53E シードラゴン

RH-53D シースタリオンは、アメリカ海軍が運用する掃海ヘリコプターです。この機体は、CH-53Dを改良したもので、航空対機雷戦（AMCM）のために特別な装備が搭載されています。本稿では、その詳細や運用歴、後継機MH-53E シードラゴンについて紹介します。

RH-53Aの開発

1962年、アメリカ海軍は対機雷戦のために複数のヘリコプターを改装するよう命じました。1964年にはシコルスキー社との契約により、SH-3A 9機がRH-3Aに改修されました。これらの機体は、1965年から海軍に引き渡され、1966年には掃海母艦「オザーク」で艦上適性試験が行われました。

これらのヘリコプターは試験用の暫定策に過ぎなかったため、海軍はCH-53ベースの機体に改修を進めました。1971年には、海兵隊から15機のCH-53Aが貸し出され、これがRH-53Aとして新たに運用されることになりました。

RH-53Dの開発と仕様

RH-53Aの運用実績を踏まえて、アメリカの議会はCH-53Dを基にした新造機、つまりRH-53Dの製作を承認しました。シコルスキー社は1972年に30機の製造を受注し、まずは仕様の強化が行われました。

RH-53Dは、大重量の磁気掃海具Mk 105を曳航する能力が求められたため、大出力のT64-GE-413エンジンを搭載し、トランスミッションや降着装置付近も強化されています。また、燃料搭載量の増加も図られ、500米ガロン（約1,892リットル）の外部タンクが2基追加されました。

掃海具は機内に搭載可能で、飛行中に展開・回収できるようになっていますが、磁気掃海具は水上艦によって運ばれ、ヘリコプターがそれを牽引する方式で運用されました。この自動飛行制御システムにより、牽引ケーブルの調整がスムーズに行えるようになっています。

運用史

RH-53Dの生産は1972年に始まり、1974年のスエズ運河の掃海作戦では初の実任務が行われました。この任務では、イオー・ジマ級強襲揚陸艦が発着母艦として使用され、成功裏にミッションが完了しました。1979年には、RH-53Dがノンストップでアメリカ大陸を横断するという偉業も成し遂げました。

1984年には、リビアによる機雷テロに対応するための作戦も展開され、多数のRH-53Dが活躍しました。一方で、1980年のイランアメリカ大使館人質事件に対する作戦では、訓練が不足していたため、失敗に終わったこともありました。

MH-53E シードラゴンの誕生

RH-53Dは、当時の最高性能を誇るヘリコプターでしたが、それでも牽引力や航続距離に課題がありました。さらにライスボール作戦での損失が響き、新たにCH-53Eを基にしたMH-53E シードラゴンが開発されることになりました。

MH-53Eでは、エンジンが強化され、ローターブレードの直径が拡大されるなどの改良が加えられました。航続距離が大幅に向上し、特に低空での運用における安全性が確保されました。1986年から正式に海軍に引き渡され、湾岸戦争ではその運用能力が実証されました。

結論

交戦時代を経て、RH-53Dシースタリオンはアメリカ海軍にとって重要な航空機となりました。その運用実績と技術の進化は、後続機のMH-53Eシードラゴンに引き継がれ、現在も海上でのミッションに貢献し続けています。

もう一度検索