RICE MUSIC

『RICE MUSIC』 - 土屋昌巳の初ソロアルバム

『RICE MUSIC』は、日本のシンガーソングライター土屋昌巳による1枚目のオリジナル・アルバムで、1982年6月21日にEPIC・ソニーレコードからリリースされました。本作は、当初は一風堂として活動していた土屋のソロデビュー作であり、彼にとって重要なマイルストーンとなります。

背景

一風堂の前のアルバム『RADIO FANTASY』（1981年）リリース後、バンドは活動を休止しました。その後、土屋はソロ活動に専念し、ライブやコンサートツアーに参加しました。途中、ジャパンのメンバーとの出会いが大きな影響を与え、本作の制作へと繋がっていきます。土屋はジャパンのアルバム『孤独な影』が好きだったため、メンバーとのコラボレーションを強く希望していました。

録音と制作

本作のレコーディングは1982年1月から始まり、ロンドンのAIRスタジオで行われました。特に印象的なのは、当初の計画があまり練られていなかったため、土屋は即興のスタイルで曲を録音していったことです。土屋のギタープレイはその場で録音されたものが多く、彼の独自の感性が色濃く反映されています。

また、坂本龍一とのコラボ曲「KAFKA」では、事前に打ち合わせをせずに録音が行われました。この曲は、坂本のアイデアである「言葉のダダイスム」に基づいて制作されており、土屋との即興的なコラボレーションが展開されました。

音楽性とテーマ

アルバムのコンセプトは、土屋自身のアイデンティティが強く反映されており、日本人としての自分を意識して制作されています。発売時には、「お米を食べて育った人間がここにいる」というメッセージが込められており、アジアのリズムや音楽的要素が多く取り入れられています。

音楽誌では、80年代初頭特有のニューウェイヴ的要素があると評価されており、ライターの吉村栄一は「混沌としているが個性的なアルバム」と表現しています。土屋は、自身のアジア人としての特性が音楽制作においてプラスとなっていると感じていました。

リリースと評価

作アルバムは、発売から数ヶ月後にオリコンシングルチャートで高評価を得た一風堂のシングル「すみれ September Love」と共に、注目を集めました。特にアルバムジャケットは、土屋の顔の後ろに玄米が貼り付けられたユニークなデザインで、視覚的にも印象深いものとなっています。

批評家からは、ゲストミュージシャンの存在がアルバムに多様性をもたらしているとの意見が多く、土屋は「国際色あふれる音楽」が評価される一因となりました。『RICE MUSIC』は、日本だけでなく、イギリスや海外でもリリースされ、その後もCD化され続けています。

まとめ

『RICE MUSIC』は、土屋昌巳がソロアーティストとしてのスタートを切る重要な作品であり、彼の音楽的な探求が詰まったアルバムです。土屋独自の音楽スタイルとアジア的要素が融合し、今なお多くのリスナーに影響を与え続けています。

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