ROMANCE (麻倉未稀のアルバム)

麻倉未稀『ROMANCE』

1984年9月21日にCRYSTAL BIRD / キングレコードから発売された、麻倉未稀にとって通算6枚目となるオリジナル・アルバムです。当時の音楽シーンを反映し、力強いロックサウンドを基調とした楽曲が多く収められています。

このアルバムには、発売に先行してリリースされたシングル曲が含まれています。具体的には、CD版にのみ収録された通算9枚目のシングル「ロマンスは熱いうちに -The City of Romance-」と、通算10枚目のシングル「リメンバー・ターン」が収録されました。これらのヒット曲が、アルバム全体の方向性を示す重要な要素となっています。

また、『ROMANCE』の大きな特徴として、複数のカバー曲が挙げられます。アルバムのオープニングを飾る「Mega Madness」は、アメリカのミュージシャン、マイケル・センベロが歌唱した「Gremlins...Mega Madness」のカバーです。この原曲は、1984年に公開された人気アメリカ映画『グレムリン』の劇中で使用され、同年末にはオリジナル・サウンドトラック・シングルとして発売されました。ライナーノートには、この楽曲がワーナー・ブラザースの映画『グレムリン』からのものであることが明記されています。

邦楽のカバーとしては、「ぬれたコースター」が収録されています。これは、1976年10月にリリースされた平山みきのシングル「やさしい都会」のB面に収められていた楽曲「あなたの来る店」をカバーしたものです。荒井由実が作詞、筒美京平が作曲を手がけた原曲を、麻倉未稀独自の表現で披露しています。

さらに、「スカーフェイス」もカバー曲であり、こちらは1983年公開のアメリカ映画『スカーフェイス』のサウンドトラック・アルバム収録曲である、ポール・エンゲマンによる「Scarface (Push It to the Limit)」が原曲となっています。この曲もサントラからのシングルカットとして知られており、映画の世界観を反映したパワフルなナンバーです。

LPレコードおよびカセットテープ、そして発売当時のCD版には、これらのカバー曲やシングル曲を含む全10曲が収録されました。シングル「リメンバー・ターン」のB面曲「Marvelous Night」や、後の通算11枚目のシングル「ヒーロー HOLDING OUT FOR A HERO」のB面曲となる「横須賀 Break dance」なども収められており、シングルのカップリング曲もアルバムで楽しめる構成となっています。

アルバムの制作には、戸塚修、渡辺博也といった編曲家が参加し、松井五郎、竜真知子といった作詞家、いけたけし、Michael Linといった作曲家、そして麻倉未稀自身も作詞・作曲で名を連ねており、多彩なクリエイター陣が楽曲制作に携わっています。

時代を経て、音楽の流通形態が変化する中で、『ROMANCE』も新たな形で提供されています。2023年2月3日に開始された音楽配信サービスでは、LP・CD版とは一部収録曲が変更されました。配信版では、「ロマンスは熱いうちに -The City of Romance-」がリストから外れる一方、通算14枚目のシングル「孤独の戦士 (ロンリー ハンター)」とそのB面曲「想い出に愛をこめて」が追加されています。これにより、オリジナル版とは異なる全11曲の構成で提供されており、時代のニーズに合わせて内容がアップデートされたことが分かります。

このように、アルバム『ROMANCE』は、当時の麻倉未稀のロック志向と、積極的なカバー曲の採用、そして時代の変化に対応した配信版での構成変更など、彼女の音楽キャリアの一時期を象徴する興味深い作品と言えるでしょう。既発シングル、洋邦の話題曲カバー、そしてアルバムならではの楽曲群が織りなす、聴きごたえのある一枚です。

収録楽曲（LP/CD版）は以下の通りです。

Mega Madness
リメンバー・ターン
ロマンスは熱いうちに -The City of Romance-
Love in the afternoon
潮風にランナウェイ
Marvelous Night
ぬれたコースター
スカーフェイス
横須賀 Break dance
一通のエアメール

配信版では、「ロマンスは熱いうちに -The City of Romance-」に替わり、「孤独の戦士 (ロンリー ハンター)」と「想い出に愛をこめて」が収録されています。

（この記述は、提供された資料に基づき記述されています。記載内容は発表当時のものや公式情報に準拠しますが、解釈や構成は辞書的な記述となるよう再構成されています。）

もう一度検索