ROYAL STRAIGHT FLUSH

沢田研二 『ROYAL STRAIGHT FLUSH』シリーズ

『ROYAL STRAIGHT FLUSH』（ロイヤル・ストレート・フラッシュ）は、日本を代表するエンターテイナー、沢田研二の音楽活動を様々な側面から捉えたベストアルバムシリーズです。彼の半世紀以上に及ぶキャリアの中から選び抜かれた楽曲群は、リスナーにジュリーの軌跡を辿る機会を提供し、長年にわたり多くのファンに愛され続けています。

シリーズの始まり：初期3部作

このシリーズは、1979年4月1日にポリドールからリリースされた第一作『ROYAL STRAIGHT FLUSH』で幕を開けました。このアルバムには、ソロデビュー初期のヒット曲「許されない愛」から、歌謡史に名を刻む名曲「カサブランカ・ダンディ」に至るまでの1970年代を象徴するシングルA面曲が12曲収められています。阿久悠作詞・大野克夫作曲による「勝手にしやがれ」や「時の過ぎゆくままに」、安井かずみ作詞・加瀬邦彦作曲の「危険なふたり」「追憶」といった、当時のジュリーの人気を決定づけた代表曲が並びます。

続いて1981年12月15日には、同じくポリドールより『ROYAL STRAIGHT FLUSH 2』が発売されました。この作品では、当時共に活動していたバンド「EXOTICS（エキゾティクス）」との時期や、1970年代後半の楽曲を中心とした12曲がセレクトされています。「TOKIO」「ス・ト・リ・ッ・パ・ー」のような挑戦的なサウンドから、「酒場でDABADA」「おまえがパラダイス」まで、ロック色とポップセンスが融合した当時のジュリーの音楽性が反映されています。

1984年3月25日には、ポリドール内のジュリー自身のプライベートレーベル「JULIE LABEL」から『ROYAL STRAIGHT FLUSH 3』が登場しました。この時期の楽曲に加え、「TOKIO」「サムライ」「勝手にしやがれ」といった過去の代表曲も再び収録。大沢誉志幸作曲の「晴れのちBLUE BOY」「おまえにチェックイン」や、井上陽水作詞・作曲の「背中まで45分」など、新しい作家陣とのコラボレーションによる楽曲も収められ、常に変化を続けるジュリーの姿を示しています。

SPECIAL盤と大全集

東芝EMIへ移籍した後も、ポリドールから1985年9月1日に『Royal Straight Flush SPECIAL』がリリースされました。このアルバムには、移籍後に発表されたシングル「灰とダイヤモンド」が収録されており、過去の代表曲と共に当時の最新曲を楽しむことができる編成となっています。

シリーズの中でも特に網羅的なのが、1997年12月10日に東芝EMIから2作同時に発売された『Royal Straight Flush 1971-1979』と『Royal Straight Flush 1980-1996』です。これらは、ソロデビュー曲「君をのせて」から1996年リリースのシングル「愛まで待てない」まで、実に25年以上にわたる期間の全シングルA面曲61曲を完全収録した、まさに「大全集」と呼ぶにふさわしい内容となっています。各年代のヒットチャートを飾った名曲の数々を通じて、ジュリーの音楽的変遷と魅力を余すところなく堪能できます。

後の展開と再発

これらの「ROYAL STRAIGHT FLUSH」シリーズは、時代を経て多くのファンに求められ、再リリースも行われています。2005年9月7日には、ポリドール在籍時の初期3部作がデジタルリマスター化され、ユニバーサルミュージックから再び発売されました。さらに2012年には、これら初期3作を豪華なセットにした『ロイヤル・ストレート・フラッシュ 1 2 3』が3000セット限定でリリースされ、コレクターズアイテムとして注目を集めました。また、1997年発売の大全集版2作品も、2015年にユニバーサルミュージックから再発され、より多くのファンが彼の偉大なキャリアに触れる機会を得ています。

「ROYAL STRAIGHT FLUSH」シリーズは、沢田研二の音楽世界を体系的に理解するための重要な手がかりとなるだけでなく、各時代を代表する楽曲を通じて日本のポピュラー音楽史の一端をも感じさせてくれる貴重なコレクションと言えるでしょう。それぞれのアルバムに収録された楽曲は、彼の多彩な表現力と時代と共に進化し続けた音楽性を鮮やかに映し出しています。

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