RPGツクールVX

RPGツクールVXとその進化

『RPGツクールVX』は、2007年12月27日にエンターブレインから発売されたRPG制作ソフトウェアです。「VX」という名称は、Vista XPを連想させますが、その由来は公式には明らかにされていません。このソフトは、シリーズの新たな転換期を迎え、多くのクリエイターに利用されました。その後、2011年には『RPGツクールVX Ace』、2012年には素材集も発売され、シリーズはさらに進化を遂げました。

インターフェースと機能

インターフェースは『RPGツクール2000』に近いものの、フォントにはUmePlus Gothicが採用され、視覚的な印象が大きく変化しました。複雑だった操作が簡略化され、ツクールXPで削除されたイベントコマンドが復活するなど、利便性が向上しました。マップエディタ機能も強化され、全体的に『ツクール2000』への原点回帰を目指した設計となっています。また、RGSS2を搭載し、スクリプトによるカスタマイズ性も強化されましたが、データベースに登録できる数は減少しました。公式では、制作支援のためのファンサイトキットも配布され、ユーザーコミュニティの活性化に貢献しました。

海外版も発売され、国際的な広がりを見せました。初期バージョンから数回のアップデートを経て、Windows 7の64bitOSにも対応しました。

RPGツクールVX Aceへの進化

『RPGツクールVX Ace』は、『RPGツクールVX』の後継として、多くの改良が施されました。仕様変更や機能追加に加え、初心者向けの制作補助機能や素材が充実し、よりユーザーフレンドリーになりました。特に、「ちびキャラツクール」が内蔵されたことは、キャラクターデザインの幅を広げました。RGSSもRGSS3にバージョンアップし、処理能力と拡張性が向上しました。

フォントはVLゴシックに変更され、UIの印象も刷新されました。また、旧VXでは動作保証外だったWindows 7の64bit版にも正式に対応しました。旧VXのデータは直接使用できませんが、有志によってコンバートスクリプトが開発されたため、多くの設定やイベントを流用することが可能になりました。

特典として、『RPGツクール SUPER DANTE』と『RPGツクール2』のBGMデータが同梱され、ゲーム制作の素材として活用できました。RTP（ランタイムパッケージ）の容量は過去最大となり、BGMがmidiからogg形式に変更されたことがその一因です。

アップデートも行われ、認証システムも変更されました。これにより、ユーザーはより快適にゲーム制作に取り組めるようになりました。

サンプルゲームと著名作品

『RPGツクールVX』には、以下の6本のサンプルゲームが収録されています。

Dragoness Edge 2820
INVAS 退魔録
ミチル見参！ 魔界境物語
Buried Book
フタゴノカミサマ
レクトールと黒獅子の紋章

『RPGツクールVX Ace』には、以下の4本のサンプルゲームが収録されています。

勇者と心の鍵
さくさくサーガ
ベスティオールの冒険者
きみは勇者じゃない！２～ニルスのお仕事～

これらのサンプルゲームは、ユーザーに操作方法やゲームデザインのヒントを与えました。

また、これらのツールで制作された著名な作品としては、以下のようなものがあります。

VX作品

EXTRAPOWER STAR RESISTANCE（2008年）
Eternal Eden（2008年）
らんだむダンジョン（2010年）
魔女の家（2012年）
帽子世界（2013年）
クロエのレクイエム（2013年）
獄都事変（2014年）

VX Ace作品

LISA（2012年）
霧雨が降る森（2013年）
Margikarman（2013年）
Always Sometimes Monsters（2014年）
虚白ノ夢（2015年）
* 殺戮の天使（2015年）

これらの作品は、ツクールシリーズの可能性を示し、多くのクリエイターに刺激を与えました。

まとめ

『RPGツクールVX』とその進化版である『RPGツクールVX Ace』は、RPG制作の敷居を下げ、多くのユーザーにゲーム制作の楽しさを提供しました。これらのツールによって制作された多様な作品は、ゲーム業界に大きな影響を与え、クリエイターの育成に貢献しました。今後も、ツクールシリーズはゲーム制作の可能性を広げ続けるでしょう。

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