RRR (映画)

『RRR』：インド映画史に残る大作

2022年公開のインド映画『RRR』（アールアールアール）は、S・S・ラージャマウリ監督によるテルグ語の叙事詩的ミュージカルアクション映画です。イギリス領インド帝国を舞台に、実在の独立運動指導者であるコムラム・ビームとアッルーリ・シータラーマ・ラージュをモデルにした架空の物語が展開されます。歴史上の空白期間を舞台に、2人がイギリスに抵抗する姿が壮大なスケールで描かれています。

圧巻のアクションと音楽

本作は、その圧倒的なアクションシーンと、力強く美しい音楽で高く評価されています。特に、挿入歌「ナートゥ・ナートゥ」は、第80回ゴールデングローブ賞主題歌賞、第95回アカデミー賞歌曲賞を受賞するなど、世界的な成功を収めました。躍動感あふれるダンスと、緻密に計算されたアクションは、観客を興奮の渦に巻き込みます。

物語：友情と独立への闘い

1920年代のイギリス領インド帝国。圧政を敷くイギリス総督に、ゴーンド族の少女マッリが拉致されます。彼女の救出のため、ビームは仲間と共にデリーを目指します。一方、警察官のラーマは、独立運動家の取り締まりに携わっていました。異なる立場にある2人は、偶然の出会いから友情を育み、やがて共通の敵であるイギリスに立ち向かいます。

物語は大きく2部構成されています。前半は、ビームとラーマが出会い、友情を深める過程が描かれます。ビームはマッリ救出のために総督府に潜入しますが、ラーマによって逮捕されます。後半では、ラーマが過去にイギリス軍によって家族を失っていたという事実が明かされ、ビームへの裏切りの代償に苦しむ姿が描かれています。しかし、ビームの信念に触発されたラーマは、再び彼と共にイギリス総督打倒に立ち向かうのです。

キャストと製作

N・T・ラーマ・ラオ・ジュニアとラーム・チャランが主人公を演じ、アジャイ・デーヴガン、アーリヤー・バットら豪華キャストが脇を固めます。日本版では、杉田智和、日野聡ら人気声優陣が吹き替えを担当しています。

製作には、3年以上の歳月と、インド映画史上最高額となる55億ルピー（約90億円）の製作費が投じられました。COVID-19パンデミックの影響による撮影中断などもありましたが、スタッフ・キャストの熱意と努力によって完成した作品です。

世界的な成功

『RRR』はインド国内だけでなく、世界各国で高い評価を受けました。興行収入は120億ルピー（約200億円）を超え、インド映画歴代興行成績の上位にランクイン。日本でも10億円を超える興行収入を記録し、日本で公開されたインド映画の最高記録を更新しました。また、数々の映画賞を受賞し、その名声を不動のものとしています。

批評家の評価

多くの批評家から高い評価を得ており、ラージャマウリの演出、アクションシーン、音楽、そして俳優たちの演技が絶賛されています。Rotten Tomatoesでは支持率93%と高い評価を得ています。一方で、歴史的正確さや女性キャラクターの描写については批判的な意見も存在します。

多様な要素が融合したエンターテイメント

『RRR』は、アクション、ミュージカル、歴史劇、そして友情といった多様な要素が融合した、壮大なエンターテイメント作品です。その圧倒的なスケールと魅力的な物語は、多くの観客を魅了し、インド映画の新たな可能性を示す作品と言えるでしょう。日本でも、その興奮と感動を劇場で体験することができます。

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