Raptor Lakeマイクロプロセッサ

Raptor Lake マイクロプロセッサ

Raptor Lake（ラプターレイク）は、インテルが開発したマイクロプロセッサのコードネームです。2022年9月27日に第13世代Intel Coreプロセッサとして発表され、その後2023年10月16日にはRaptor Lake Refreshとして第14世代Intel CoreプロセッサおよびIntel Coreプロセッサ シリーズ1として再発表されました。

概要

Raptor Lakeは、高性能コア（Pコア）と高効率コア（Eコア）を組み合わせたハイブリッドアーキテクチャ（ヘテロジニアスマルチコア）を採用しています。これにより、高いパフォーマンスと電力効率の両立を目指しています。

製造プロセスには、Alder Lakeで採用されたIntel 7プロセスの改良版であるIntel 7 Ultraが用いられています。

また、Raptor Lakeは、実質的にCore iシリーズの名称が使用される最後のシリーズとなります。下位モデルではPentiumやCeleronに代わり、Intel Processorという名称が採用されています。

一部の下位グレードモデルには、Raptor Lakeではなく、前世代のAlder Lakeアーキテクチャで製造されたダイが使用されているものも存在します。また、Raptor Lake搭載品とAlder Lake搭載品が混在して販売されているモデルも存在しますが、これらも公式には「Raptor Lake」または「Raptor Lake Refresh」として扱われています。これらの混在モデルでは、L2キャッシュメモリはAlder Lake相当の容量に統一され、対応メモリ周波数の上限もAlder Lake相当となっています。

特徴

Raptor Lakeの主な特徴は以下の通りです。

Intel 7 Ultra プロセス: より洗練された製造プロセスにより、パフォーマンスと効率が向上しています。
ハイブリッド構成: Raptor Cove高性能CPUコア（Pコア）とGracemont高効率CPUコア（Eコア）を組み合わせることで、マルチタスク性能と省電力性を両立しています。
L2キャッシュの増加: デスクトップ向けSモデル、モバイル向けHXモデル、サーバー向けEモデルでは、L2キャッシュが増加しており、より高速なデータアクセスが可能です。
ソケットLGA1700: デスクトップモデルはLGA1700ソケットに対応しています。
Intel Xeベースの内蔵GPU: Intel Xeアーキテクチャに基づく内蔵GPUを搭載し、グラフィックス性能が向上しています。
DDR5-5600 メモリ: 最新のDDR5メモリに対応し、高速なデータ転送を実現しています。

Vmin Shift 不安定問題

2023年2月頃から、Raptor Lakeを搭載した一部のシステムで、ゲームのクラッシュが報告され始めました。この問題は、13世代のKモデルだけでなく、後に発売された14世代のKモデルでも発生しました。その後、Epicの子会社RADがOodleの解凍エラーの原因がRaptor Lakeにある可能性を示唆しました。

この問題に対し、インテルは2024年2月27日にコミュニティページで問題を認識し、パートナーと協力して分析していることを発表しました。Nvidiaは、この問題がGeForceの不具合ではなく、インテルに問い合わせるべきであるとアナウンスしました。

インテルの分析の結果、プロセッサの最低動作電圧(Vmin)が変動していることが判明しました。根本的な原因は特定されていませんが、マザーボード側の無制限な電力設定が関与している可能性が指摘され、インテルの推奨設定内で動作させるように声明が出されました。これに対応するため、マザーボードメーカーは「Intel Baseline Profile」を追加したBIOSを公開し始めました。このプロファイルを使用すると、発熱は減少するものの、数%の性能低下が見られます。劣化したプロセッサーは、対策されたBIOSを使用しても修復できません。

その後、インテルは推奨設定である「Intel Default Settings」の使用を呼びかけ、各マザーボードメーカーが新しいBIOSを公開しました。6月には、eTVBのアルゴリズムに不具合があったとして、マイクロコード0x125がリリースされました。

7月22日、インテルは問題の原因がSVIDアルゴリズムにあると特定し、Vmin Shiftを引き起こす可能性のある誤った動作クロックと高電圧を要求していたことを明らかにしました。修正版マイクロコード0x129は8月中旬にリリースされました。さらに、インテルは特定の第13/14世代Core CPUの保証を2年間に延長しました。この保証延長は、トレイ（OEM）CPUにも適用されました。

9月25日には、最終的な対策として、アイドル時および低負荷時の電圧制御を厳格化したマイクロコード0x12Bが発表されました。インテルは、現行のモバイルプロセッサおよびLunar Lake、Arrow Lakeは、この問題の影響を受けないことを再度発表しました。

製品一覧

Raptor Lakeは、デスクトップ、モバイル、サーバー、組み込み向けに展開されています。

デスクトップ向け:
Raptor Lake-S: LGA1700ソケットに対応。
Raptor Lake Refresh: 第14世代Coreとして発表。Core i9ではクロック向上、Core i7ではEコアを増加。
サーバー向け:
Raptor Lake-S: LGA1700ソケットに対応。
モバイル向け:
Raptor Lake-HX: ゲーミングノートPC向け。
Raptor Lake-H: ゲーミングノートPC向け。
Raptor Lake-P: メインストリーム向け。
Raptor Lake-U: 薄型軽量ノートPC向け。
組み込み向け:
Raptor Lake-S: LGA1700ソケットに対応。
Bartlett Lake-S: LGA1700ソケットに対応。
Raptor Lake-H
Raptor Lake-P
Raptor Lake-U
Raptor Lake-PS: LGA1700ソケットに対応。

関連項目

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