Reverse address resolution protocol

RARP（逆アドレス解決プロトコル）について

RARP (Reverse Address Resolution Protocol) は、ネットワークに接続された機器が、自身の物理アドレス（MACアドレス）に基づいてIPアドレスを取得するために使用されるプロトコルです。このプロトコルは、主にネットワークデバイスが起動時に自身のIPアドレスを自動的に設定するために利用されました。

RARPの仕組み

RARPの動作は比較的シンプルです。以下にその基本的な流れを示します。

1. RARPリクエストのブロードキャスト:
IPアドレスを必要とする機器（クライアント）は、自身のMACアドレスをデータグラムに含めて、ネットワーク全体にブロードキャスト（RARPリクエスト）します。このリクエストは、ネットワーク上のすべてのデバイスに送信されます。
2. RARPサーバの応答:
ネットワーク上には、事前にMACアドレスと対応するIPアドレスの情報を保持したRARPサーバが存在します。このサーバが、ブロードキャストされたRARPリクエストを受け取ります。
RARPサーバは、受信したRARPリクエストに含まれるMACアドレスと自身のデータベースを照合し、対応するIPアドレスを見つけます。
IPアドレスが見つかった場合、RARPサーバは、IPアドレスを含むRARP応答を、リクエストを送信したクライアントに送信します。
3. クライアントのIPアドレス設定:
RARP応答を受信したクライアントは、応答に含まれるIPアドレスを自身のIPアドレスとして設定します。

RARPの特性

RARPには、以下のような特徴と制約があります。

データリンク層プロトコル: RARPは、OSI参照モデルのデータリンク層で動作するプロトコルです。
RARPサーバの必要性: RARPを使用するためには、ネットワーク内にRARPサーバが必須です。また、RARPサーバには、事前にすべてのクライアントのMACアドレスと対応するIPアドレスを登録しておく必要があります。
取得可能な情報: RARPを通じてクライアントが取得できるのは、IPアドレスのみです。サブネットマスク、デフォルトゲートウェイ、DNSサーバーのアドレスといった、ネットワーク設定に必要な他の情報は、RARPでは取得できません。
ルーティング: データリンク層のプロトコルのため、RARPはルータを越えて使用することができません。そのため、ネットワークが複雑になると利用が難しくなります。
柔軟性の欠如: RARPサーバに事前にMACアドレスを登録する必要があるため、ネットワーク構成の変更に柔軟に対応することが難しいという欠点があります。

RARPの限界と代替技術

RARPは、ネットワークデバイスが起動時に自身のIPアドレスを取得するための初期的なソリューションとして重要な役割を果たしました。しかし、RARPの持つ上記の制約と、より高度な機能を持つプロトコルの登場により、現在ではRARPが使われることは少なくなりました。

RARPの主な代替技術としては、DHCP (Dynamic Host Configuration Protocol) が挙げられます。DHCPは、IPアドレスだけでなく、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイ、DNSサーバーのアドレスなど、ネットワーク設定に必要な情報をクライアントに動的に配布できます。さらに、DHCPはより柔軟で拡張性があり、大規模なネットワーク環境にも対応できます。

関連技術

ARP (Address Resolution Protocol): ARPは、IPアドレスから対応するMACアドレスを解決するために使われるプロトコルです。RARPとは逆の役割を果たします。

関連RFC

RFC 903: RARP (A Reverse Address Resolution Protocol) の詳細が記載されています。

RARPは、過去のネットワーク技術において重要な役割を果たしましたが、現在ではより進化した技術にその役割を譲っています。しかし、その基本的な仕組みを理解することは、ネットワーク技術の理解を深める上で非常に役立ちます。

もう一度検索