Rocket Lakeマイクロプロセッサ

Rocket Lake（ロケットレイク）とは

Rocket Lake（ロケットレイク）は、インテルが開発したマイクロプロセッサで、2021年3月16日に正式発表され、第11世代Intel Coreプロセッサとして製品化されました。

概要

Rocket Lakeは、高い動作周波数を特徴とする14nmプロセスのマイクロプロセッサです。同じ14nmプロセスのComet Lake（第10世代）の後継として開発されました。当時、10nmプロセスでは動作周波数を十分に上げることが難しかったため、14nmプロセスでの開発となりました。

Rocket Lakeでは、高い動作周波数、IPC（Instructions Per Cycle）の向上、ピンとソケットの大型化、Cypress Coveマイクロアーキテクチャの採用などにより性能向上が図られ、特にシングルスレッド性能が大きく向上しました。しかし、iGPU（内蔵グラフィックス機能）、リングバス、ソケット形状の維持のためにコア数が減少し、マルチスレッド性能は低下しました。また、製造プロセスが改善されなかったため、消費電力が大幅に増加するという課題も抱えています。

例えば、第11世代Core i9シリーズ（11900Kなど）と第10世代Core i9シリーズ（10900Kなど）を比較すると、消費電力の増加が顕著に表れています。

特徴

Rocket Lakeの主な特徴は以下の通りです。

14nm++プロセス: 製造プロセスは14nm++プロセスを採用しています。
新アーキテクチャ Cypress Cove: Sunny Coveアーキテクチャを14nm++プロセスにバックポートしたCypress Coveマイクロアーキテクチャを採用しています。
ソケット LGA1200: ソケットはLGA1200を引き続き採用しています。
最大DDR4-3200メモリー: 最大でDDR4-3200のメモリーに対応しています。
Intel UHD Graphics 750/730: 内蔵グラフィックスとしてIntel UHD Graphics 750または730を搭載しています。
チップセット: Intel H470、Z490、500シリーズのチップセットに対応しています。
ハイパースレッディング: 全てのモデルがハイパースレッディングに対応しています。
Intel Turbo Boost Max Technology 3.0: i7、i9、XeonモデルのみTurbo Boost Max Technology 3.0に対応。その他は2.0に対応。
Adaptive Boost Technology: i9 11900K、KFモデルのみAdaptive Boost Technologyに対応しています。
USB 3.2 Gen2×2: USB 3.2 Gen2×2（20Gbps）に対応しています。
プロセスルール: プロセスルールはCoffee Lakeから最適化されていません。

Cypress Coveマイクロアーキテクチャ

Cypress Coveマイクロアーキテクチャは、Sunny Coveアーキテクチャを14nm++プロセスにバックポートしたものです。10nmプロセスの遅延により、14nm++プロセスでの立ち上げを余儀なくされました。

インテルの10nmプロセスは、Ice Lake発売当時、14nmプロセスほどの動作周波数を達成することができませんでした。そのため、Rocket Lake-Sを10nmプロセスでローンチしようとすると、Intel 7（旧称: 10nm Enhanced SuperFin）を使用する必要がありましたが、当時はまだ量産されていませんでした。量産を待つとロードマップにさらなる遅れが生じ、競合製品にシェアを奪われる可能性があったため、量産体制に入っていたIce Lakeを14nmにバックポートし、Rocket Lakeとしてローンチすることになりました。

製品一覧

デスクトップ向け

マイクロアーキテクチャを変更しIPCを改善したことにより、シングルスレッド性能が向上しました。
B460、H410チップセットではRocket Lake-Sをサポートしません。
全てのIntel 500シリーズのチップセットとRocket Lake-Sの組み合わせにおいて、メモリのオーバークロックに対応しています。
ソケットはLGA1200のまま据え置きです。
AVX 512に対応しています。
Intel Deeplearning Boostに対応しています。
Resizable BARに対応しています。
CPU直結PCIeレーンはPCIe 4.0 20レーンです。
Rocket Lake-S
対応ソケット: LGA1200

サーバー向け

XeonはW580、Q570チップセットのみの対応です。
Rocket Lake-S
対応ソケット: LGA1200

脚注

Rocket Lakeは、14nmプロセスを使用しながらも、アーキテクチャの刷新によってシングルスレッド性能を向上させたプロセッサです。しかし、消費電力の増加やコア数の減少といった課題も抱えています。この世代は、インテルの10nmプロセスへの移行期における過渡的な製品であり、その後のAlder Lakeプロセッサに繋がっていきます。