Rust (コンピュータゲーム)

Rust

『Rust』は、Facepunch Studiosが手掛ける多人数参加型のサバイバルコンピューターゲームです。2013年12月に早期アクセス版として登場し、開発中の大幅な変更を経て、2018年2月に正式リリースされました。対応プラットフォームはWindowsおよびmacOSに加えて、Double Elevenとの共同開発により2021年5月にはPlayStation 4|PlayStation_4とXbox One向けの家庭用ゲーム機版も発売されています。本作は当初、人気のあった『ARMA 2』のMod『DayZ』に、『Minecraft』のクラフティング要素を融合させた作品として開発がスタートしました。

ゲームプレイ

プレイヤーの主な目的は、広大な荒野で生存することです。食料や水、健康状態を常に管理しなければ生命の危険に晒されます。環境からの脅威としてクマやオオカミのような野生動物が存在しますが、本作がマルチプレイヤー専用であることから、最大の脅威となるのは他のプレイヤーです。

ゲーム開始時、プレイヤーは最小限の道具しか持たず、周囲の資源（木材、石、鉱石など）を収集することから始めます。これらの資源を用いて、道具や武器、防具、そして自身の身を守るための拠点を作成します。高度なアイテムを作成するためには、ゲームワールド内に点在する特定の場所（モニュメント）を探索し、部品や設計図を入手する必要があります。拠点建設は外敵からの保護に不可欠であり、クラン（プレイヤー集団）に参加することで生存の可能性を高めることができます。プレイヤー間の交流は、アイテムの取引や協力だけでなく、激しい戦闘や拠点への襲撃（レイド）という形で頻繁に発生します。戦闘は弓や近接武器、多様な火器を用いて行われ、弾道学に基づいたリアルな軌道計算や部位ダメージシステムが採用されています。

移動手段として、馬やバイク、熱気球などの様々な乗り物が利用可能です。これらは長距離移動や資源輸送に役立ちますが、武装したNPCや他のプレイヤーからの攻撃を受ける可能性もあります。マップ上では定期的に支援物資が投下される空中投下イベントが発生し、貴重なアイテムを巡ってプレイヤー間の争奪戦が繰り広げられます。また、特定エリアは放射能汚染されており、適切な防具なしでは探索が困難になるなど、環境的な危険も存在します。プレイヤーは死亡するとインベントリを失い、選択した場所や事前に設置したベッドなどでリスポーンすることになります。

開発の経緯

本作は前述の通り『DayZ』のクローンとして始まりましたが、開発チームはゾンビや既存マップの限界を感じ、独自の方向性を模索しました。早期アクセス期間中、ゲームは大きな変化を遂げました。ゾンビは削除され、危険な野生動物が主要な環境的脅威となりました。ゲームエンジンをUnity 5に移植することで、グラフィック表現や手続き型生成されるワールドの規模が大幅に向上しました。また、プレイヤーのキャラクターの外見（肌の色や性別）がSteamアカウント情報に紐づけられ、変更不可能になるという特徴的なシステムが導入されました。これは、外見ではなくサバイバルそのものに焦点を当てること、そしてプレイヤーが一貫したアイデンティティを持つことを目的としたものでした。クラフティングシステムの青図方式の変更（一時的な経験値システム導入とその後の廃止を経て最終的に再導入）や、放射能システムの調整なども、開発期間中に繰り返し行われています。

正式リリース後も、Facepunch Studiosは積極的にアップデートを続けており、新しい武器、乗り物、探索エリア、グラフィック改善などが定期的に追加されています。楽器やプール設備、音響機器といったユニークなアイテムを追加する有料ダウンロードコンテンツも複数リリースされています。2021年には、ゲームの人気再燃を背景に、新規プレイヤー向けの「ソフトコア」モードが導入され、ゲームプレイの難易度緩和が試みられました。

評価と商業的成功

早期アクセス中、本作の評価は賛否両論でした。未完成さや不安定さを指摘する声がある一方、他のサバイバルゲームと比較されつつも、その持つ可能性や予測不能な体験は評価されました。特に、プレイヤーのキャラクター外見が固定されるシステムは議論を呼びましたが、開発者はサバイバル体験への集中とプレイヤーの一貫性をその理由として説明しています。

正式リリース後も批評家の評価は分かれましたが、マルチプレイヤーPvP戦闘の緊張感やサバイバル要素の深さは多くのプレイヤーに支持されました。一方で、初心者にとっての過酷な体験や、資源収集の繰り返し作業（グラインド）に対する批判も見られました。しかし、その難しさこそが、生き残った際の達成感を際立たせると評価する声もあり、本作は現在でも最高のサバイバルゲームの一つとして挙げられています。

商業的には大きな成功を収めています。早期アクセス開始後わずか2ヶ月で100万本を突破し、その後も着実に売上を伸ばしました。2021年初頭には、人気ストリーマーたちが本作を配信したことでプレイヤー数が急増し、同時接続プレイヤー数の記録を大幅に更新しました。この時期には、わずか数日で100万ドル規模の売上を記録するなど、その人気の高さを示しました。2021年末までに、全世界で1250万本近い売上を達成しています。

一部のプレイヤーコミュニティでは、ロールプレイ専用サーバーが人気を集めるなど、多様なプレイスタイルが生まれています。

もう一度検索