S企画

株式会社S企画の歴史と経営破綻の経緯

概要

株式会社S企画（エスきかく）は、かつて日本で書店を経営していた企業で、以前は株式会社芳林堂書店として知られていました。もともとは太平洋戦争の終了後、1948年に古本販売を目的として個人商店を開業したのが始まりです。その後、1948年3月に法人化し、1971年には池袋駅の西口に自社ビルである芳林堂ビルを完成させ、池袋本店を旗艦店としてオープンしました。

このように、芳林堂書店は主に首都圏で店舗を拡大し、1999年には売上高約70億円を記録するなど、その名を広めました。しかし、時代が変化する中で、読書離れやインターネットの普及、そして電子書籍の登場が響き、業績は次第に悪化していきました。

経営の危機と再建策

芳林堂書店は、業績回復を目指し様々な再建策を試みました。例えば、池袋本店の閉店を決断し、芳林堂ビルの売却に踏み切りました。さらに、コミックやビジネス書籍の取り扱いを増やし、語学や飲食業に参入することで事業を多角化しようと試みました。しかし、書店事業以外の新規事業は一部が不良債権となり、逆に有利子負債が増加して経営はさらに厳しくなりました。

2015年8月期には、売上高がピーク時から半減し、約35億8700万円にまで減少。この結果、取次業者である太洋社に支払いの繰延を申請するなどして事業維持を図りましたが、芳林堂書店は取引先に対して56％の支払いしか行えない状況にありました。

このため、太洋社は2016年1月に書籍の納入停止を通告し、全く新刊が入ってこない状態となりました。これにより、店舗運営は困難を極めました。

経営破綻とその後

2016年2月5日、太洋社は自主廃業を発表します。芳林堂書店は、取引先を変更することを検討しましたが、債務が大きな妨げとなり、他の選択肢を模索することも困難な状況でした。最終的に、同年2月23日にアニメイトグループの書泉に書籍・外商事業を譲渡する契約を結びました。これによって、書泉は新たな『芳林堂書店』として営業を続けることが決まりました。

同年2月25日には社名を株式会社S企画へ変更し、翌日には東京地裁から破産手続開始決定を受けました。この経営破綻は、太洋社との深い関係性の結果、未回収債権を生むなど、多くの問題を引き起こしてしまったことが指摘されています。様々な事業への拡大がリスク分散を伴わずに失敗に終わったことから、芳林堂書店は難しい局面に立たされていました。

沿革

• - 1948年3月: 株式会社芳林堂書店設立。
• - 1971年: 芳林堂ビル完成、池袋本店が開業。
• - 2003年12月: 池袋本店閉店。
• - 2004年1月: 芳林堂ビルを売却。
• - 2016年1月: 太洋社からの書籍納入停止通告。
• - 2016年2月23日: 書泉との譲渡契約締結。
• - 2016年2月25日: 商号変更、株式会社S企画に。
• - 2016年2月26日: 東京地裁から破産手続開始決定。
• - 2017年4月6日: 法人格消滅。

経営破綻時には、いくつかの店舗が存在しており、経営権は書泉に譲渡されましたが、2025年現在では高田馬場店を除いて平井店も含めてほとんどが営業を終了しています。これは企業の成長と変化がいかに厳しいものであるかを示す一例となりました。

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