S-13ロケット弾

S-13ロケット弾

ソビエト連邦時代に開発されたS-13ロケット弾は、航空機から発射される直径122mmの無誘導ロケット弾です。現在もロシア空軍を中心に、世界各国の空軍や航空部隊で広く利用されている標準的な兵器の一つです。

開発の背景と特徴

このロケットの開発は、1970年代に始まりました。当時のソ連軍は、既存の80mmや240mmといった口径のロケット弾に加え、より中間に位置する威力のロケットを求めていました。特に、滑走路に効果的にダメージを与え、航空機の運用を妨げるためのクレーター形成能力や、強化された航空機用掩体（シェルター）などを貫通する能力が求められていたのです。これは、同時期にアメリカ軍が運用していた127mmズーニー・ロケット弾のような兵器に対抗する、あるいは類似のニッチを埋める意図があったと考えられます。

S-13ロケット弾の設計は、一般的な航空ロケットの構造を踏襲しています。推進には固体燃料ロケットモーターを使用し、発射時には折りたたまれている安定尾翼は、ロケットがポッドから飛び出した後に展開し、飛行中の安定性を確保します。

歴史と運用プラットフォーム

開発の道のりは、比較的長い時間を要しました。最初の試験が行われたのは1973年ですが、その存在が広く公開されるようになったのは、それから10年後の1983年になってからです。

S-13ロケット弾を運用するためには、専用のロケットポッドが必要です。最も一般的なのは、5本のロケットを装填できるB-13Lポッドです。このポッドは、ソ連・ロシア製の多様な固定翼機に搭載可能です。

Su-17/20/22
Su-24
Su-25
Su-27
MiG-23BN
MiG-27
MiG-29

さらに、ヘリコプター用のB-13L1ポッドも開発されており、以下の機種から発射することができます。

Mi-24
Mi-28
Ka-29TB
Ka-50
Ka-52

これにより、S-13は幅広い航空プラットフォームから運用できる柔軟性を持っています。

性能と位置づけ

その122mmという直径は、小型のS-5やS-8ロケット弾よりも大きな弾頭を搭載することを可能にし、要求された滑走路破壊や硬化目標攻撃といった任務に適した破壊力をもたらします。無誘導であるため精密攻撃には向きませんが、面制圧や近接航空支援において大量の弾頭を短時間で投射する能力は、現代の戦場においても有効な戦術的選択肢となっています。

S-13は、同じソ連で開発された122mm口径のBM-21グラート地対地ロケットシステムとは用途が異なりますが、共通の口径を持つ興味深い例です。また、アメリカのズーニー・ロケット弾はS-13の開発契機の一つとされることがあり、両者は空対地ロケット弾の分野における東西の代表的な存在と言えるでしょう。S-13は、S-5やS-8といった他のソ連・ロシア製空対地ロケット弾のファミリーの中でも、中量級の役割を担う重要な兵器として位置づけられています。

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