ズーニー・ロケット弾

ズーニー・ロケット弾（Zuni rocket）

ズーニー・ロケット弾は、アメリカ軍によって採用された直径5インチ（127mm）の無誘導ロケット弾で、対空や対地攻撃に加え、チャフとしても利用されます。このロケット弾はアメリカ海軍と海兵隊で広く運用されています。

開発背景

このロケット弾の開発は、第二次世界大戦中に着手され、戦争中から戦後にかけて使用されたHVAR（High Velocity Aircraft Rocket）の後継モデルとして1950年代の初頭に始まりました。ズーニーロケット弾は、さまざまな弾頭と信管を装着できるよう設計されているため、その用途は多岐にわたります。

主に使用されるのは4連装のLAU-10ポッドですが、2連装のLAU-33A/AやLAU-35A/Aも存在し、F-8 クルセイダーやOV-10 ブロンコといった航空機に搭載されています。これにより、高い柔軟性を持ってさまざまな任務に対応可能です。

ベトナム戦争での役割

ベトナム戦争中には、ズーニー・ロケット弾は対空戦闘でも成果を上げました。特に1967年5月1日には、北ベトナム上空で、空母「ボノム・リシャール」から発艦した攻撃飛行隊「VA-76 スピリッツ」のセオドア・R・スワーツ少佐が操縦するA-4C スカイホークが、北ベトナム軍のMiG-17 フレスコをズーニーで撃墜するという成功を収めました。この功績によりスワーツ少佐はシルバースターを授与されています。

重大事故

しかし、このロケット弾には悲劇的な歴史もあります。1967年に空母「フォレスタル」で発生した事故では、Mk.32 ズーニーを搭載したF-4 ファントムIIが電気配線のショートによる誤射を起こし、射線上にいたA-4 スカイホークを直撃しました。この事故により、航空燃料が引火し、艦載機21機が破損、134名の乗員が命を落とすこととなりました。直撃を受けたA-4の操縦士は当時少佐のジョン・マケイン3世でしたが、運良く直撃から90秒後に脱出し、爆風で負傷しました。

さらに、1969年には空母「エンタープライズ」で荷物の上に座っていたズーニーが他の機体のジェットブラストにより過熱し、爆発した事故が発生しました。この事故により27名の乗員が死亡、314名が負傷、15機の艦載機が被害を受けました。

結論

ズーニー・ロケット弾は、その高い攻撃能力と用途の広さから、アメリカ軍にとって重要な兵器ですが、その歴史には誤射や事故による悲劇的な側面も存在します。今後の運用方法や安全管理の重要性が求められるでしょう。

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