S-400 (ミサイル)

S-400「トリウームフ」

S-400「トリウームフ」は、ロシア連邦が開発した超長距離地対空ミサイルシステムで、そのロシア語名称は「大勝利」を意味します。このシステムは、同時に多くの目標を迎撃する能力を持ち、特にアメリカのパトリオットミサイルシステムと比較されることが多いです。S-400は、S-300シリーズの強化版として設計されており、ロシア連邦軍によって初めて採用されました。

概要

S-400は、Almaz-Anteyによって開発され、S-300PM3やS-300PMU3などの標準モデルの後継として扱われます。本システムは、400km先にある最大6つの目標を同時に処理できる能力を備え、高度な対ステルス性能も実現しています。また、S-300Pシリーズのミサイルを利用することができるため、運用の柔軟性も持っています。運用されるミサイルは、9M96系列、48N6系列、40N6の3種類であり、それぞれ異なる射程と用途を持っています。

• - 9M96系列: 短～中距離用で、334kg（9M96E1）や420kg（9M96E2）の重量を持ち、射程はそれぞれ40km、120kmです。特に9M96は、サイドスラスターを用いた制御が可能であり、高い精度を誇ります。
• - 48N6系列: 中～長距離ミサイルで、最新型48N6DMが開発中です。
• - 40N6: 長～超長距離用で、射程350km、秒速4.8kmで弾道ミサイルに対処可能です。

将来的には、S-500シリーズがこのシステムに取って代わる計画があります。

開発経緯

S-400の開発は1990年代末に始まり、1999年1月にロシア空軍から正式に発表されました。初の試験は同年2月12日に成功を収め、その結果2001年には配備が決定されました。しかし、その後の事故などで計画は遅延し、最初の大規模配備は2004年に完了しました。

配備状況

報道によれば、S-400の標準的な運用ユニットは8つの発射機と32発のミサイル、移動式指揮所から構成されています。ロシア軍は、モスクワや中央ロシアをはじめ、極東地域でも配備を進めています。特に、シリアへの配備が注目されており、シリアでのロシア軍の空爆後に同地に導入されたことが確認されています。

輸出と国際的影響

S-400は国際的にも注目されており、中国やトルコ、インドに導入されています。特に中国は最初の顧客であり、その後も様々な国がこのシステムに興味を示しています。これに対しアメリカは、輸出規制や制裁措置を講じており、トルコがS-400を購入したことを巡っても、米トルコ間の緊張が高まる結果となっています。

まとめ

S-400「トリウームフ」は、その先進的な能力から、ロシアの主力防空システムとしての地位を確立しています。国際的な配備状況や輸出活動は、他国との軍事・政治的関係にも大きな影響を及ぼす可能性があり、今後の展開が注目されています。

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